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[ 2017.06.02 ]

心房細動治療の最前線-カテーテルアブレーションの効果について[循環器内科]
心房細動とは
心房細動は頻度の多い不整脈の一つで、国内に100万人以上の患者さんがいると言われています。動悸や息切れなど、生活の支障になる自覚症状をきたすほか、心不全、脳梗塞の原因ともなり、きちんとした診断と治療を受けることが重要です。

不整脈にはさまざまな種類がありますが、心房細動は心臓の上半分にある“心房”という部屋(図 1)の活動が不規則になる不整脈です。心房は左右の心室の上流にあり、心拍数の制御や、心室が力強い拍出をするため十分に充満させるブースター効果を持っています。心房細動が発生すると、心房は小刻みに震えるのみで正常な収縮はなくなり、また心拍数(心室の拍出回数)が不適切に多くなる“頻脈”といった異常が現れます。その結果、動悸などの症状、心不全や脳梗塞の発症と関連します。


 
  図1                          図2
 
  
心房細動は心電図検査で容易に診断することができます。図 2に示すように、心房細動の際には基線が規則性のない小刻みな揺れを示すことと、心室の興奮が不規則かつ頻拍(脈が多い)になることが特徴です。急な動悸発作のため受診した際に、心電図でわかる場合もありますが、あまり自覚症状がなくて健診などで見つかる場合も多く、病像には個人差が大きいです。初期のうちは24時間以内に自然に復調することが多く、症状が軽快したのち受診した場合には痕跡がなく正しい診断に至らない場合もあります。
 

心房細動の治療目標



心房細動に伴う自覚症状は典型的には動悸発作ですが、上に示すように多岐にわたります。ご本人が不整脈のための症状とは思わず、年齢や疲れからと思い、受診が遅れることが多い病気です。また、まったく気付かず生活をされている方もいます。自覚症状を改善する必要があるのはもちろんですが、症状が軽くても、放置すれば心不全や脳梗塞のリスクになる点が問題です。こうした事態に至ってはじめて心房細動に気付くケースもあり、早期発見と適切な対処がとても大切です。




心房細動はまずは薬で正常な心拍を維持したり、頻脈を抑えることを目指します。同時に、脳梗塞予防のために抗凝固療法を用います。これらの薬物療法の選択は、年齢や疾患背景によって選択が大きく変わりますので、患者さんそれぞれに合わせて決めていきます。発作が頻回だったり、症状で困っている場合や薬で制御できない場合にはカテーテルアブレーションという治療手段があります。不整脈をきたす原因の部分に直接アプローチするカテーテル手術で、近年著しく進歩しています。


カテーテルアブレーション治療

カテーテルアブレーションは心腔内に挿入したカテーテルを不整脈の起源部位に置き、高周波電流を流すことで病巣を焼灼する治療です。心房細動は特定の回路を持たない不整脈で、根本的な対処は不可能とされてきました。ところが、左心房に還流する 4本の肺静脈の合流点の興奮伝播が不安定で渦を巻くような伝導になりやすく、心房細動の発生に関与することから、肺静脈を治療標的とすることで治療が可能になってきました。近年では肺静脈隔離術と呼ばれるカテーテル手術が普及し、多くの患者さんの福音になっています。

術中X線透視像
肺静脈隔離術を行うには左心房にカテーテルを進めます。
肺静脈入口部において円周状の線状焼灼を行い、肺静脈と左心房の間で電気的な興奮が旋回するのを阻止する術式です(図 3)。


 図3 術中X線透視像                図4 3次元カラーマッピング  図5 CT 左房後画像


図 4のように、左心房および肺静脈の位置関係は3次元マッピングシステムにより詳細に把握でき、カテーテル操作はミリ単位の精度で行います。安全に、緻密な隔離ラインを作成することができます(図 5)。

さらに、カテーテルの心房壁への圧着を可視化するコンタクトフォース表示(図 6)や先端冷却(イリゲーション)システム(図 7)といった最新テクノロジーにより、治療成績は飛躍的に進歩しています。


 
  図6 コンタクトフォース  図7 イリゲーションカテーテル
      
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アブレーション施術1年後の成績

当科では安全なカテーテル技術と、前述のテクノロジーを結集し、肺静脈隔離術の手技完成率は100%です。長期成績(図 8)でも極めて高い有効性を維持しています。心房細動は隔離線の再伝導や肺静脈以外の起源により再発する可能性があり、また複数回(2-3回)の施術が必要になる方もいますが、改善が乏しい方はごく少数です。特に、病気の初期、発作性心房細動の時期では治療成績がきわめて良いので、なるべく病状が進む前にアブレ-ション治療を受けることをお勧めします。病状が進行し、不整脈が固定した持続性・慢性心房細動(図 8右)では根治性は低くなりますが、必要に応じ薬物も併用し、ほとんどの患者さんで病状コントロールは得られます。


図8

術後の経過について
心房細動のカテーテルアブレーションは手術後 2-3か月は効果が安定せず、不整脈がくすぶるように出現する場合があります。通常、薬物を継続しながら経過を見ます。不整脈や血栓の薬をやめられるかどうかは病状によりますので、個々に判断しています。高血圧、糖尿病、肥満、腎臓病などは心房細動が再発しやすい因子になります。治療が成功しても、これらの管理は引き続き重要になります。



終わりに

心房細動の治療成績は飛躍的な進歩を遂げています。すべての方を根治することはできませんが、従来諦めていた病像も大きく改善できるようになったことは確かです。症状でお困りの方、治療意欲がある方は、アブレーションの有用性を是非知っていただきたいと考えています。


九州大学病院循環器内科
TEL: 092- 642 - 5368 (病棟直通)
http//www.med.kyushu-u.ac.jp/cardiol/
アブレーションe-mail相談窓口: ABL★junnai.org (向井)
                                                ※送信の際は★を@に変更してお送りください

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