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[ 2017.07.20 ]

本当は怖いエコノミークラス症候群 -心臓外科医が挑む急性肺血栓塞栓症[心臓血管外科]


心臓血管外科 塩瀬科長(中央)をかこんで。手術室にて

エコノミークラス症候群とは?
エコノミークラス症候群とは、何らかの原因で下肢の静脈に血栓(血の塊)ができ、その血栓が血液の流れに乗って肺に到達して、そこで血管(肺動脈)を閉塞させてしまう病気です。正式には「急性肺血栓塞栓症」といいます。飛行機のエコノミークラスなどの狭い空間で長時間同じ姿勢をとるとこの病気を発症するため、通称「エコノミークラス症候群」といわれるようになりました。

もちろん、ビジネスクラスや地上生活でも発症することがあります。近年は、あるスポーツ選手がこの病気を発症したこと、大規模災害の時に車中泊を続ける避難者に死亡者が出たことなどから、広く知られるようになりました。

症状は、どの程度の大きさの血栓が血管を閉塞させたかによりますが、多くの場合、患者さんは呼吸困難や胸の痛みを訴え、時には失神することもあります。いずれにせよ、症状が突然現れることがこの病気の怖い点です。


どのような場合に発症しやすいか?
長時間同じ姿勢をとること以外にも、表1のように血液が血管内で停滞しやすい状態では血栓ができやすく、この病気を発症する可能性が高まります。また、生まれつき血液が固まりやすい性質の人や、極度の脱水状態、長期臥床でも発症する可能性があります。



       表1 エコノミークラス症候群を発症しやすい原因


エコノミークラス症候群の治療について
1.薬物治療
肺動脈にできた血栓が比較的小さい場合は症状も軽く、心臓や肺の機能に大きな影響を与えないこともあります。この場合には、血栓がこれ以上大きくならないように、そして数が増えないようにする薬(抗凝固薬)を投与しながら、経過を見ます。

2.カテーテル治療
肺動脈にできた血栓が大きく、心臓や肺の機能を大きく損なう状況では、薬物治療を行う余裕がないため、カテーテルで直接血栓を取り除き、閉塞した血管を再開通させます。

3.手術
最重症型では、患者さんがショック状態となって病院へ搬送される場合があります。この場合は、一刻を争う治療が必要となり、救命のために即座に機械による呼吸と循環のサポート(経皮的心肺補助装置、図1)を開始する必要があります。

呼吸や血液循環を保つことができないような肺動脈の中枢側にある大きな血栓の場合には、手術がもっとも効果的な治療です(図2)。手術では、人工心肺を使用し、心停止や循環停止などの特殊な方法をしばしば併用する必要があります。


       図1 経皮的心肺補助装置                         図2 手術例:右肺動脈の中枢側が血栓で閉塞している



さいごに

エコノミークラス症候群は、誰にでも起こり得る、そして突発的に呼吸や血液循環が不安定になる怖い病気です。心臓外科医しか治せない最重症型のエコノミークラス症候群があります。九州大学病院の心臓血管外科では、最重症型のエコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)に対応できる体制を整えています。ご不明な点はお気軽にご相談ください。



■心臓血管外科外来
初診日:火・(水)・(金) 紹介状、予約が必要です。
            ※急患はこの限りではありません。
電話番号:092-642-5565
担当:心臓血管外科 塩瀬 明(科長)ら7名


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