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大学病院の被災地支援

大学病院の被災地支援

大学病院は被災地医療支援の継続・強化を行います−人材の充実による災害医療に強い国立大学附属病院の構築に向けて−

 この度の東日本大震災について、国立大学附属病院は、社会的使命を果たすべく献身的に医療支援を展開してきました。
  3月11日の地震発生直後から緊急医療支援活動、医薬品・医療材料・食料の緊急輸送を始めました。その後、 6月中旬まで自治体と連携した医療支援活動を実施する病院、単独で医療支援活動を続ける病院とともに、国立大学附属病院長会議のネットワークを使って、複数の大学病院によるリレー方式の被災地医療支援チームが全国各地区において結成され、活動を展開してきました。

 I. 国立大学附属病院は、これらの活動で以下の7つの機能を果たしています。
1. 医療支援物資を被災地の医療機関等にも配送(支援物質の供給機能)
 全国の大学病院が、被災地の大学病院へ医療支援物資を配送することにより、不足した県・市の医療機関等に配送し補充された。
2. 重層的ネットワークによる情報共有と協力体制(情報共有・体制構築機能)
 昭和25年から60年間継続してきた「国立大学附属病院長会議」の活動と研究者間の学会活動等により培われた病院長及び各診療領域の教授間の個人的ネットワークによって、信頼度の高い情報を共有し、医療支援体制を構築した。
3. 共有された情報で大学病院の医療人材群を派遣(人材派遣機能)
 信頼度の高い情報が国立大学病院間で共有されたことで、機動的に多くの医療チームを被災地に投入することができた。
4. 多様な医療ニーズに応える多彩な医療人材を派遣(ニーズ即応機能)
 過去の震災とは違い、急性期はもとより慢性疾患の継続治療、心のケア、法医学・歯科分野による遺体の検案、避難所での口腔ケア・食事指導、原発地域の被ばく医療等、多様で刻々と変わる医療ニーズに多彩な医療人材でフレキシブルに対応した。
5. 長引く医療支援活動を大学病院間のリレーで継続(支援継続機能)
 各地区の複数の大学病院で、医療支援チームをリレー方式で派遣し、医療支援活動を支え続けている。
6. 高度な医療技術で感染症拡大防止・被ばく対応(高度医療提供機能)
 水が出ない状況で医療行為が行われ、通常なら感染症が拡大する危険性が高かったにもかかわらず、大学病院の高度な感染症防護技術で危機を回避した。
 緊急被ばく医療に即座に対応して、放射線専門家を派遣し、「一時立ち入りプロジェクト」での住民の放射線量調査や被ばく医療を実施した。
7. 国立大学法人として国の政策を即座に実現(政策実現機能)
 国立大学法人は国からの支援を受けている機関として、緊急の政策を実現するための公益活動を即座に展開した。

 国立大学附属病院は、今後も、被災地の医療ニーズに的確に、かつ、迅速に応えていきます。

*当面の具体例としては、数日間の短期滞在型の医療支援から 2週間から 1か月間といった中期的な期間でチーム医療を担っていく連続滞在型の医療支援への転換。

II. 一方、この医療支援活動を実施する中、次の 3つの大きな課題が明らかにされてきました。
1. 災害時の医療ピークへの確実な対応
 日常的な国立大学病院の医療は、診療に対応する診療報酬請求と、教育研究等に対応する運営費交付金によって収支を均衡する仕組みとなっており、災害等による医療ニーズの急激な高まり(ピーク)に備えるための危機管理的な費用(人件費、医薬品・医療材料備蓄費、食料備蓄費、燃料備蓄費等々)は、効率化対象となりがちである。この危機管理の費用を今後継続的に支える仕組みが必要。
2. 集約化が限界に近づいた地域の救急医療を支える大学病院の貢献
 今回の震災では、住民のアクセスの観点の上で集約化された地域の救急医療体制が既に危機的状態であったことが露呈された。
 また元々充分でなかった医師・看護師不足が今回の被害で更に加速されたため、今後この医療体制の崩壊をどのように再構築するかが、地域コミュニティの復興の鍵となっている。
 自治体や基幹病院を核とした医療人の派遣・調整機能が充分には機能しえない現在、国立大学病院に被災地基幹病院への人材供給体制による地域医療貢献が求められている。
3. 医療支援機能を強化するための大学病院での人材確保・充実
 従前、大学病院での雇用条件が改善されない中、医療崩壊が進行しつつあった。これに対し平成22年度の診療報酬改定においては、労働環境の厳しい勤務医の負担軽減を目的としたクラークの配置や処遇改善の財源確保として診療報酬の増額が図られた経緯がある。また、看護師については、急性期医療の安全性及び質向上を目的に、患者と看護師の配置の比率を 7:1にするための診療報酬上の措置がなされており看護師増員を図ってきた。
 今後災害医療に強い国立大学附属病院の構築に向けては、さらなる人材の充実を図ることが極めて重要である。

 大震災から 3か月以上経った今も、被災地で頑張り、心身ともに疲弊した方々を懸命に支える国立大学附属病院の教職員に対して平成22年度診療報酬改定の趣旨の継続・実効を可能とする財源確保をお願いいたします。

平成23年6月17日
国立大学附属病院長会議

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