泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科 外科系

基本概要

外来窓口 外来2F
初診日 火・木
再診日 月・水・木・金
ご連絡先 092-642-5615
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診療科紹介

当科では、腎臓や腎盂・尿管・膀胱・尿道といった尿路系全般と、前立腺・精巣・陰茎などの男性生殖器に加え、ホルモン産生臓器である副腎を対象とした診断・治療を担当しています。悪性腫瘍を主な対象として、外科的治療だけでなく薬物療法においても幅広く最先端の医療を提供しています。また、排尿障害に対する薬物療法や尿路結石にはレーザーを用いた内視鏡的治療も行っています。

主な対象疾患とその治療

前立腺がん

前立腺は膀胱の出口に存在する臓器です。精液の一部である前立腺液を作っており、射精などの男性機能に関わっています。近年日本において前立腺がんが増加傾向であり、近い将来前立腺がんの罹患率は、男性に発生するがんの第一位になることが予想されております。
前立腺がんは組織検査(前立腺生検)で確定診断をしますが、当院では検査前にMRIを撮影し、MRIでがんと疑わしい病変を狙って組織採取をするMRI-超音波融合画像ガイド下前立腺生検法を導入しております。
早期がんに対しては手術や放射線治療が行われます。また前立腺がんは男性ホルモンにより増殖をする性質があり、転移を有する進行前立腺がんに対しては、男性ホルモンの働きを抑える内分泌療法が主に行われます。
 

膀胱がん

膀胱は下腹部に存在する臓器で、尿を貯める(蓄尿)機能と、排出する(排尿)機能を持っています。膀胱がんは膀胱の内側の尿路上皮という組織に発生するがんです。男性に多く、男女比は約3:1です。喫煙も発生率を高めることがわかっています。大半の患者さんは無症候性肉眼的血尿(他の症状を伴わない血尿)で見つかります。早期がんであれば内視鏡手術(経尿道的膀胱腫瘍切除術)で治療が可能ですが、進行がんの場合は膀胱全摘除術や抗がん剤の投与が行われます。
 

腎がん

腎臓は血液を濾過し、尿を生成する臓器です。腎臓にできる腫瘍の大半は悪性腫瘍で、腎がんと呼ばれます。男女比は約3:1で、男性に多い傾向があります。近年では健診や、他の病気の検査の際に行われる画像検査で偶発的に見つかるケースが多く、その場合は大半が早期がんです。早期がんであれば手術で根治が望めますが、転移を有する進行がんの場合は薬物療法が主に行われます。
 

腎盂がん・尿管がん

腎盂は腎臓から生成された尿が集まる場所です。その後、尿は尿管を通って膀胱まで運ばれます。腎盂および尿管の内側は膀胱と同じ尿路上皮という組織で覆われており、腎盂・尿管がんも尿路上皮から発生するがんです。膀胱がんと同様男性に多く、喫煙が発生率を高めます。
早期がんであれば手術(腎尿管全摘除術)で治療が可能ですが、進行がんの場合は抗がん剤の投与が必要になることがあります。

主な手術・治療

ロボット支援前立腺全摘除術

前立腺全摘除術は、比較的早期に見つかった転移が無い前立腺がんに行う手術です。前立腺と精のうという精液を貯める臓器を摘出し、膀胱と尿道をつなぎ合わせます。病気の進行度合いなどにもよりますが、前立腺の近くに存在するリンパ節をあわせて摘出することもあります(リンパ節郭清術)。当科では体に負担が少ないロボット手術を行っており、直近の5年間では全例ロボット手術で行っています。
 

経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)

膀胱がんが疑われる患者さんにまず始めに行う手術です。尿道から内視鏡(膀胱鏡)を挿入し、膀胱がんを内側から切除します。この手術により腫瘍組織を採取し、膀胱がんの診断も行いますので、診断と治療を兼ねた手術と言えます。膀胱の筋肉に浸潤していない表在がんであれば、この手術のみで治療できる可能性があります。
また当院では、光線力学診断補助下TURBTという手法を導入しています。これは、手術を行う前に5-アミノレブリン酸という薬剤を投与して、膀胱がんの組織を光らせる方法です。そのため膀胱がんが見つけやすくなり、膀胱がんの治療成績が良くなることが証明されています。
 

ロボット支援膀胱全摘除術

筋肉に浸潤する進行がんは、ほとんどの場合TURBTのみでは治療が不十分です。そのような進行がんであり、かつ他の臓器に転移がない患者さんに対して行う標準的な手術が膀胱全摘除術です。通常の場合、男性は前立腺・精のう・尿道を、女性は子宮・卵巣をあわせて摘出します。膀胱を摘出した後に、尿の出口を作る手術(尿路変向術)をほとんどの場合で追加します。2018年より膀胱全摘にもロボット手術が保険適用となりました。当科では特殊な事情がない限り膀胱全摘除術もロボット手術で行っております。
 

ロボット支援腎部分切除術

腎部分切除術は早期(転移がない7cm以下の)腎がんに対して第一選択となる手術です。以前はがんを腎臓ごと摘出する根治的腎摘除術が行われることも珍しくありませんでしたが、近年腎部分切除術を行ったほうが長期間の治療成績が良いことがわかりました。そのため当科でも腎部分切除術を積極的に行っています。以前は開腹手術で行っておりましたが、こちらも現在はほぼ全例をロボット手術で行っております。
 

腹腔鏡下根治的腎摘除術・腹腔鏡下腎尿管全摘除術

根治的腎摘除術は腎部分切除術と同様に腎がんに対して行われる手術です。7cmを超える腎がん・技術的に部分切除術を行うことが難しい腎がん・腎臓周囲への浸潤が疑われる腎がんなどに対して行います。ほとんどは腹腔鏡手術で行いますが、がんの進行度合いによっては開腹手術を行うこともあります。
腹腔鏡下腎尿管全摘除術は転移がない腎盂・尿管がんに対して行う手術です。腹腔鏡下根治的腎摘除術と同様の方法で、最初に腹腔鏡手術で腎臓周囲の剥離を行います。この手術では尿管を膀胱の近くで切断しなければならないため、腹腔鏡手術による腎臓周囲の剥離が終了した後に、下腹部に10cm程度の切開を加えて尿管の切断を行います。そして下腹部の切開から腎臓・尿管をまとめて摘出します。
 

腹腔鏡下副腎摘除術

副腎は腎臓の頭側にある体に必要なホルモンを産生する臓器です。副腎にできる良性腫瘍の中にはホルモンを過剰に産生してしまうことにより様々な症状を引き起こすものがあります。そのような場合、手術で腫瘍を副腎ごと摘出することがほとんどで、この手術を副腎摘除術と言います。ほとんどの場合で腹腔鏡手術を行います。稀ですが副腎にもがんが発生することもありますが、その場合も可能な限り腹腔鏡手術を行います。

その他

進行腎がんに対する分子標的薬治療や免疫療法、進行前立腺がんに対する新規ホルモン療法や抗がん剤投与、
進行膀胱がんに対する抗がん剤投与や免疫療法など、進行がんに対する全身化学療法も得意としております。
また本邦承認前の新規薬剤に関する臨床研究(治験)も積極的に行っております。