免疫・膠原病・感染症内科 内科系

基本概要

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診療科紹介

当科では、難治性の自己免疫疾患、感染症、肝疾患に対して最新の医学的知見に基づいた医療をすすめています。総合内科としての特色を活かして、さまざまな分野の専門知識や技術を駆使して診療を行っています。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症を中心に自己免疫疾患全般に対する免疫抑制療法を行っています。免疫不全症や悪性腫瘍の患者さんなどの易感染宿主に続発する日和見感染症についても積極的に取り組んでいます。不明熱、ウイルス肝炎、自己免疫性肝疾患に関しても、積極的に診療にあたっています。

主な対象疾患とその治療

関節リウマチ

免疫異常の関与により全身の多くの関節に炎症が起こり、関節のこわばり、腫れや痛みを生じる病気です。関節中の滑膜(かつまく)という部分が腫れて、関節周囲の軟骨や骨が破壊され、進行すると関節の変形や機能障害に至ります。男性の発症率に比べると女性に4倍ほど多く、30-50歳代に多く発症します。日本では70-100万人の患者さんがいると考えられています。原因は未だ不明ですが、関節破壊は、発症数年以内に進行しやすいため早期の診断・治療が重要です。

近年の治療の進歩はめざましく、1999年メトトレキサートの適応開始、さらに2003年には生物学的製剤の国内販売が開始されたことで、多くの症例で病気の進行を抑えることが可能になりました。これにより治療目標が、これまでの関節の「痛みをとること」から「腫れや痛み、炎症のない(寛解)」状態を目指すことへ変化しました。その後も今日まで、多種多様な新規治療薬が開発され、治療の選択肢が大きく広がっています。

全身性エリテマトーデス(SLE)

典型的な全身性の自己免疫疾患で、自分の体の成分に対する抗体(自己抗体)が作られ、全身のさまざまな臓器が障害され多彩な症状をきたします。発熱、全身倦怠感のほか皮疹(紅斑)、口内炎、腎炎、中枢神経症状(脳血管障害、けいれん他)、関節炎などがみられます。男性の発症率より女性に10倍程多くみられ、とくに妊娠可能な20-40歳の女性に多い疾患です。日本では約7万人の患者さんがいると考えられています。

治療の目的は、異常な免疫の働きや炎症を抑え、臓器障害を防ぐことです。通常重症度に応じて、副腎皮質ステロイド薬が少量-高用量使用されますが、最重症の場合は、ステロイドパルスやエンドキサンパルス療法が用いられます。最近では、ステロイドの使用量を極力減らすために、早期から免疫抑制剤を1-数種類併用した治療が行われています。2015年に日本でも抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキン)が販売承認され、基本治療薬として多くの患者さんに使われるようになっています。

全身性硬化症(強皮症)

皮膚が硬くなること(皮膚硬化)を代表的な症状とする病気です。病気に先立ち、レイノー症状(寒冷刺激で指先が白や紫色になる変化)がかなり前から認められることがあります。肺、消化管、心臓など他の臓器にも線維化という変化が起こるため、肺線維症(間質性肺炎)や逆流性食道炎などもしばしば合併します。線維化のほか血管の障害(血流障害)や免疫の異常も伴うことが特徴です。男性より女性に10倍ほど多くみられ、とくに30-60歳代に多く見られます。

これまでこの病気を根本的に改善する治療法は確立されていませんが、症状を和らげたり、病気の進行を抑えるような治療法が、それぞれの病状に応じて使用されています。進行性の皮膚硬化や間質性肺炎に対し、ステロイドや免疫抑制剤が用いられる場合があり、レイノー症状や皮膚潰瘍に対しては、血管拡張薬などが用いられます。肺高血圧症に対しては、新規の肺血管拡張薬が数多く開発され、予後の大きな改善が得られています。

血流感染症

細菌が血液中に存在する病態は、一般的に重症と言えます。免疫抑制を起こすような基礎疾患がある場合や、血管内にカテーテルが挿入されている場合は、血流感染症を起こしやすいといえます。高熱や意識障害をきたしたり、血圧が低下したりすることもあり、速やかな治療が求められます。また、心臓の弁に細菌が感染する感染性心内膜炎などは難治性です。

免疫不全に伴う感染症

悪性腫瘍や免疫異常に対する治療はめまぐるしく進歩してきていますが、一方、免疫が低下する場合があります。その際に、弱毒と考えられ、通常は感染しにくい真菌などの微生物が感染してしまう場合があります。また、以前感染し、体内に潜んでいるウイルスなどの微生物が再活性化してしまう場合もあります。このような感染症に対して、的確な予防や治療を行うことが、本来の治療のためにも重要です。

抗微生物薬を用いた治療:発熱をきたす疾患の中で、最も多くを占めるのは感染症ですが、他にも鑑別しなければならないものが多数存在します。感染症を発症しているのかいないのかを鑑別すること、そしてそれが、どのような感染症であるかを診断することが最も重要です。速やかに感染症の診断を下し、それに合わせた薬剤を選択し、最も適切な投与方法を選択しなければなりません。当然のことながら、このような基本に基づいた治療を心がけています。

その他

自己免疫疾患ではしばしば多臓器障害をきたすため、全身の臓器に対する幅広い知識を基に、関連診療科との連携をとりながら診療しています。自己免疫疾患の治療の分野は、近年の抗サイトカイン療法により大きく進歩しています。新規治療の開発や応用に取り組むために、私たちは基礎的な研究を深めながら、それを臨床に活かし発展させることに努めています。1,000床を超える病床を持つ九州大学病院内での感染症コンサルトの一翼を担い、感染症の制御に努めています。