肝臓・膵臓・胆道内科 内科系

基本概要

外来窓口 外来3F
初診日 月-金
再診日 月-金
ご連絡先 092-642-5302
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診療科紹介

肝臓・膵臓・胆道内科では、消化器疾患(肝臓、胆嚢胆道、膵臓)と消化管疾患(食道~大腸)の最新の知見に基づいた診断・治療を行っています。ウイルス性肝炎、肝臓がん、自己免疫性肝炎、急性肝不全、膵がんや胆道がん、膵炎、胆管炎、消化管早期がん、逆流性食道炎や食道機能異常症など、消化器全般の疾患について、さまざまな分野の専門知識や技術を駆使して診療にあたっています。内視鏡(拡大内視鏡、ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)やEUS(超音波内視鏡検査))を駆使しながら、正確な診断と最新の内視鏡関連治療を行うとともに、急性肝不全や重症急性膵炎など、関連施設と連携を図りながら、病態に即した集学的治療を行っています。

主な対象疾患とその治療

急性肝不全

肝臓は生体に必要な物質の合成、薬物や生体に取って不要な物質の解毒・排泄、栄養の貯蔵など、生命維持に必要な多くの機能を担っています。これらの働きを担う肝細胞が急激かつ大量に破壊され、肝臓としての機能が低下していく疾患が急性肝不全です。その原因としては肝炎ウイルスや自己免疫疾患、薬剤などが挙げられますが、成因が不明の患者さんも多数存在します。

急性肝不全となった患者さんの救命率は決して高くなく、場合によっては肝移植が必要となる事もあります。現在、わが国で発症する急性肝不全患者さんの約1割を当科で加療しており、当科は九州・山口地方の中心的医療機関となっています。移植外科と緊密に連携を取りながら、血漿(しょう)交換をはじめとする集学的治療を行い、良好な治療成績を上げています。当科では肝実質の微小循環障害が急性肝不全の病態形成に大きく関与していることを見出し、治療方法にも反映させています。

肝悪性腫瘍

肝臓に発生する悪性腫瘍には、肝臓の細胞ががん化して発生した肝細胞がんと、肝臓の中の胆管ががん化して発生した胆管細胞がんなどがありますが、その多くを肝細胞がんが占めます。発症の原因としてはB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどの持続感染や自己免疫疾患、飲酒などがありますが、近年、食生活の欧米化と生活習慣の変化から生じた脂肪肝を原因とする肝細胞がんが増加しています。肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれ、内部に炎症やがんが生じていても、初期段階ではほとんど自覚症状を伴いません。肝細胞がんは上記の慢性肝疾患を背景に発生するため、肝機能が低下している患者さんも多く、治療後に再発を繰り返す事がほとんどです。

当科では多くの治療経験をもとに腫瘍のみならず背景肝の予備能を正確に評価した上で、ラジオ波焼灼療法・エタノール注入療法等の局所療法と肝動脈化学塞栓療法を組み合わせて治療を行っています。ラジオ波焼灼療法における多段階焼灼法は、当研究室で開発された安全性の高い治療法で、現在、わが国の標準治療法の一つとなっています。腫瘍の状態によっては肝動注化学療法や分子標的薬による薬物療法、放射線治療なども適応となります。

膵腫瘍(膵がん、膵神経内分泌腫瘍)

膵がんは、全がん中死亡数で第4位(2016年)で、生涯に罹患するリスクが2%とされ、約40人に1人がかかる病気とされています。早期発見や治療が難しい病気のひとつです。慢性膵炎や糖尿病、膵がんの家族歴、肥満、喫煙などがリスクとされます。膵神経内分泌腫瘍はまれな腫瘍で、毎年10万人あたり約1.3人に発症し、罹患率は年々増加傾向です。ホルモンを産生する場合、特有の症状(低血糖、潰瘍、下痢など)を表し、一般に早期に発見されます。ホルモン産生がない場合も含め、検診や他疾患の検査時に偶然に発見されることもあります。

当科では胆膵内視鏡(超音波内視鏡や膵管胆管造影)などで膵がんと診断され、手術ができない場合、膵がんに化学療法を行います。最近では手術前に化学療法を行うこともあります。また、膵がんにより胆管、十二指腸が閉塞され、黄疸や胆管炎、十二指腸狭窄症状が表れた場合に内視鏡を用い、ステントを留置します。
稀少疾患である膵神経内分泌腫瘍は、外科的切除ができない場合、分子標的剤や化学療法薬、ソマトスタチンアナログをはじめ、さまざまな治療を行います。

膵炎(急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎)

急性膵炎は、軽度のものから致命率が10%以上となる重症急性膵炎まで、さまざまな病態があり、発症早期の的確な重症度診断と治療が重要です。年間約5.8万人が発症すると推定されています。慢性膵炎は、初期では膵機能は保たれ、腹痛が主な症状です。進行すると次第に膵機能が低下し、消化不良を伴う下痢や体重減少、糖尿病の発症や悪化を生じます。自己免疫性膵炎はわが国から発信された概念で、同時性あるいは異時性に全身臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認める原因不明の疾患で、IgG4の関与からIgG4関連疾患とも呼ばれます。

急性膵炎は医療機関と連携しながら、重症急性膵炎の方に対して、早期からの輸液・栄養・呼吸管理を中心とした集中治療、後期の感染症対策・内視鏡治療を行っています。慢性膵炎は、禁酒、禁煙の生活指導、腹痛に対しては鎮痛剤や蛋白分解酵素阻害薬を使用します。膵管が細くなっている場合は、膵管を広げたり、膵石がある場合は、内視鏡による除去を行うこともあります。自己免疫性膵炎はステロイド投与を比較的高容量で導入し、その後維持療法を1~3年行います。症状が安定している場合は中止しますが、再発を認めることも多いです。

食道アカラシア

食道は物を飲み込んだ時に最初に通る臓器で、飲み込んだ物を胃に送る働きと、胃からの逆流を防ぐ働きがあります。食道アカラシアという病気は、これらがうまく機能しなくなることで、つかえ感や胸の痛みなどが出現します。
食道と胃のつなぎ目にある筋肉がうまく緩まないことが最も関与し、治療として内服薬や風船で広げる治療、外科的手術が行われてきましたが、2008年に内視鏡(胃カメラ)を使った治療法が開発されました。それがPOEMという治療法です。

食道は物を飲み込んだ時に最初に通る臓器で、飲み込んだ物を胃に送る働きと、胃からの逆流を防ぐ働きがあります。食道アカラシアという病気は、これらがうまく機能しなくなることで、つかえ感や胸の痛みなどが出現します。食道と胃のつなぎ目にある筋肉がうまく緩まないことが最も関与し、治療として内服薬や風船で広げる治療、外科的手術が行われてきましたが、2008年に内視鏡(胃カメラ)を使った治療法が開発されました。それがPOEMという治療法です。