総合診療科 内科系

基本概要

外来窓口 外来1F
初診日 月-金
再診日 月-金
ご連絡先 092-642-5300
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診療科紹介

総合診療科はさまざまな病気に対応し、原因不明の発熱疾患、診断の難しい患者、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症など)などの一般的な疾患、感染症(肺炎やウイルス感染症、C型・B型肝炎、HIV/AIDSなど)、漢方外来、渡航外来、禁煙外来を行っています。

主な対象疾患とその治療

不明熱

「発熱」とは、体温中枢のセットポイントが上昇し、体内の熱産生の増加と末梢血管収縮による放熱機構の抑制により体温が上昇した状態です。血液検査や画像診断の進歩により、以前に比べて早期に診断出来るケースが増えましたが、それでも通常の外来・入院検査で診断が付かず、38.3℃以上の高熱が持続する場合に「不明熱」と診断されます。一般的な不明熱の原因として、「感染症」、「悪性腫瘍」、そして「膠原病」が挙げられます。原因疾患の中には重篤な疾患も含まれるため、早期診断が最も重要です。

不明熱の治療は、確定診断を付けることが第一です。初期検査として血液検査(CBC、生化学)、胸部X線、検尿および血液培養検査を行います。これら検査結果と医療面接・診察所見より問題点を整理し、鑑別診断を挙げ、必要に応じて追加検査を実施し、最終診断を導き出します。治療は診断に応じて速やかに開始され、診断によっては他の診療科と共同、あるいは依頼することもあります。高齢者では感染症を起こしても発熱は軽微になる傾向があることもあるため、症例に応じた柔軟な対応が求められます。

体重減少

「体重減少」とは、一般的に6-12ヶ月間に体重の5%以上の減少がある場合を指します。体重減少は非特異的な臨床症状で、広範な疾患群が原因となります。原因疾患として多いのは、悪性腫瘍(特に消化器がん)、精神神経疾患(うつ状態、神経性食思不振症など)、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能低下症など)です。その他、心肺疾患、飲酒や薬剤の影響も考慮する必要があります。不明熱と同様に、重篤な疾患も含まれるため、早期診断が最も重要です。

体重減少の確定診断のために最も重要なのは、「医療面接」です。エネルギーの摂取不足か過剰使用かを病態生理学的に見極めた上で、初期検査として血液検査(CBC、生化学、内分泌検査)、胸部X線、検尿などを行います。鑑別診断から必要に応じて追加検査を実施し、最終診断を導き出します。確定診断後は、疾患に応じた専門治療を必要とすることが多く、他診療科や他職種へのコンサルテーションが重要です。

リンパ節腫脹

正常リンパ節の大きさは通常直径1cm以下であり、これを超えるリンパ節を「リンパ節腫脹」と診断します。一般的に鼠径リンパ節以外の表在リンパ節触知は比較的まれで、頸部リンパ節が数日のうちに急速に腫脹し、有痛性の場合は、ウイルス性感染症などの急性炎症が考えられます。その他の原因疾患として、感染症では細菌性、結核性、梅毒など、非感染性では各種自己免疫疾患や菊池病、腫瘍性の場合は、悪性リンパ腫やがんの転移などが考えられます。

リンパ節腫脹の確定診断のために最も重要なのは、「医療面接・診察」です。リンパ節腫脹の経過やリンパ節の性状を踏まえ、局在性か全身性かを判断し、初期検査として血液検査(CBC、生化学、ウイルス抗体価、自己抗体、可溶性IL-2Rなど)、胸部X線、腹部超音波検査などを行います。最終診断のために、リンパ節の組織検査が必要な場合もあります(特に腫瘍性が考えられる場合)。確定診断後、腫瘍性では専門治療を必要とすることが多く、他診療科との連携が重要です。

B型肝炎、C型肝炎

当診療科は感染症・肝臓専門医が多く、ウイルス肝炎も治療が可能です。本邦のB型肝炎感染者は約120万人、C型肝炎感染者は約150万人と考えられ、特に60歳以上の高齢者に多い傾向です。肝がんの原因として、B型・C型慢性肝炎が約8割を占め、厳重な経過観察と病態に応じた治療介入が必要です。B型肝炎は完全なウイルス排除が困難なため、過去に感染歴のある症例では、抗がん剤や免疫抑制剤などを使用する際に、B型肝炎再活性化予防のための治療を実施することもあります。

両疾患共に治療は確立され、B型慢性肝炎では核酸アナログ製剤、C型慢性肝炎では直接型抗ウイルス剤(DAA)が使用されます。いずれも経口剤で副作用も少なく、安全に治療を遂行することが可能です。B型肝炎に対する核酸アナログ製剤は、ほぼ生涯にわたる継続的な内服治療が必要ですが、C型肝炎に対するDAA治療は、僅か8-12週間の治療で95%以上の確率でC型肝炎ウイルス排除が可能です。これらの抗ウイルス治療により、肝がんや肝硬変への進展を抑止できることが数多く報告されています。

HIV感染症

HIVは「ヒト免疫不全ウイルス」といわれ、適切な治療が施されないと数年-十数年でCD4陽性T細胞が減少し、重篤な免疫不全状態(AIDS)に至ります。AIDSでは日和見感染症の発症リスクが非常に高く、ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染症、カンジダ症が代表的な疾患です。日本国内では毎年1500人程度の新規報告者があり(90%以上が男性)、最近10年では殆ど変化していません。累計患者数は3万人に迫り、いまだ人類が直面する最も深刻な感染症の一つです。

3剤以上の抗HIV薬を組み合わせて服用する多剤併用療法(ART)が、今日のHIV感染症の標準治療法です。従来の核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤に加え、インテグラー阻害剤やCCR5阻害剤が実用化されています。ART導入時期は感染が判明し次第、可及的速やかに開始することが推奨されています。合剤が一般化され1日1-2錠治療も可能となり、重篤な副作用も少ないことから、治療の成功率は飛躍的に向上しています。

その他

得意分野:原因を特定できない症状のある患者さんの診断
診療体制:初診外来は月曜から金曜まで毎日行います。14名の医師が診療を行います(認定病院総合診療医9名、総合内科専門医5名、感染症専門医5名、インフェクションコントロールドクター4名、肝臓専門医5名、消化器病専門医1名、漢方専門医2名)。
診療方針:患者さんの主要な症状を解決するために適宜専門診療科と連携しながら診療を行います。