消化器領域 胃 内視鏡外科手術

2018年11月1日

消化器領域

胃がん、食道胃接合部がん、胃GIST

消化官外科(2)診療准教授 沖 英次

消化器領域:胃がん・食道胃接合部がんの内視鏡手術について、
消化管外科(2) 沖 英次診療准教授が回答します。 

胃がんの内視鏡手術はいつ頃から始まりましたか?どのくらいの症例数がありますか?

当科出身の現大分大学学長、北野正剛教授が1991年に世界で初めて胃がんに対して胃部分切除術を行いました。2000年には手術ロボット、ダヴィンチを使った胃切除術も行っています。最近ではおよそ 9割以上の方が内視鏡外科(腹腔鏡)手術を受けられています(グラフ 1)。

  • 表 1 内視鏡手術術式内訳(2017年 1月ー12月)

  • グラフ 1 内視鏡手術が占める割合(過去 3年分)

手術の適応についてお聞かせください


表 2 手術対象疾患(通常の手術、内視鏡手術含む)(2017年 1月ー12月)
当科では基本的に胃がんの手術は部分切除も全摘も内視鏡外科(腹腔鏡)手術を原則としています。手術歴がある方や高齢の方でも行えます。ただし、がんが他臓器(食道や十二指腸、膵臓など)へおよんでいる場合や、がんが極端に大きい場合など内視鏡外科手術が困難な場合もあります。是非当科にご相談ください。進行した胃がんにより食事摂取が不可能となった患者さんには、新たな食事の通り道を作成するバイパス術(胃-空腸バイパス術)も腹腔鏡で行っています。

一般的な術後経過についてお聞かせください

手術翌朝から飲み物は飲むことができます。翌々日には流動食、手術後 3日目には多くの患者さんで食事を取ることができます。大きな傷と比べると痛みが少ないので、手術翌日から歩行することも可能です。退院は胃部分切除術で術後 7日目、胃をすべて切除した場合でも10日程度が目安となります。胃の手術後は食事摂取の方法が手術前とは異なりますので、なるべく退院前に食事指導を受けていただきます。職種にもよりますが、退院後 1-2週間で職場復帰も可能です。また、当科では術後の再発を防ぐために、ある病期の患者さんには術後補助化学療法も行います。手術治療から再発を防ぐ治療、さらには再発後の治療まで、多くの消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医、がん薬物療法専門医などが責任を持って治療を行います。

手術創はどのようになりますか?


写真 1 臍の中心から切除した胃を取り出すので、傷は目立たず痛みも少なくなります 
臍部の創、上腹部の左右に 2か所ずつ(それぞれ0.5cm, 1.2cm)の創となります。最近ではさらに創を減らす工夫もしています。臍部の創は最終的に 4cmほどに延長し、切除した胃を取り出す創となります。いずれの創も抜糸のいらない方法で閉じます。0.5cm, 1.2cmの創は 3か月もすると目立たなくなります。また、臍部の創も最終的にはおへそが縮んであまり目立たなくなります(写真 1)。

内視鏡手術の手術創以外のメリットについてお聞かせください

開腹に比べ視野がいいことがあげられます。現在のカメラは解像度が高く、詳細におなかの中を観察できますので、確実な手術が行え、出血量も開腹手術と比べると格段に少なくて済みます。また、腸管を直接手で触りませんので、術後に腸管の麻痺が起きにくいこともメリットです。このため癒着も少なく、腸閉塞のような手術後の障害も生じにくいとされています。

現在の取り組みについてお聞かせください


図 2 ハイビジョンモニターを見ながら繊細な手術を行います
胃がんは、ときに進行して播種と呼ばれるタイプの転移が生じることがあります。このような患者さんでも抗がん剤治療と組み合わせ、内視鏡外科手術を行えるようにしています。また、 3D内視鏡をいち早く取り入れるなど、新しい胃がんの手術法や機器の開発を積極的に行っています。さらに最近、特に症例が増加しつつあるGISTの治療にも積極的に行っています。これからも一層安全・確実・かつ侵襲が少ない手術を目指して診療に取り組みます(図 2)。

内視鏡手術の適応に関するご相談・ご紹介は随時、受け付けています

消化管外科(2)外来までお気軽にお問合せください(TEL:092-642-5479 初診日・再診日:月・水・金)。
九州大学大学院医学研究院消化器・総合外科
http://www.kyudai2geka.com/