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病院からのお知らせ 2023年03月27日 糖尿病診療支援センター

糖尿病診療支援センターを開設しました/Diabetes Treatment Support Center is now open!/本院已开设糖尿病治疗支持中心

糖尿病診療支援センター長   小川 佳宏

2022年 8 月 1 日 、九州大学病院は糖尿病診療支援センターを開設しました。当センターでは 、糖尿病専門医、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師などの糖尿病診療の エキスパートが院内の各診療科と連携し、患者さん一人ひとりに先進的かつ集学的な糖尿病診療を提供し、九州大学病院における高度先進医療を支援しています。

糖尿病診療支援センターの取り組み
九州大学病院には、30人を超える糖尿病専門医をはじめ、多くの糖尿病療養指導士の資格をもつ看護師、管理栄養士などの医療スタッフが在籍しています。糖尿病診療支援センターに参画する診療科・部署の取り組みを紹介します。

糖尿病診療支援センタースタッフ
【1.糖尿病内科・心療内科】
入院診療では、周術期や高度先進医療を受ける糖尿病患者さんに対する血糖管理のほか、持続血糖モニタリングやインスリンポンプのような先進的な糖尿病診療を推進しています。また、眼科、腎臓内科、循環器内科、脳血管内科、血管外科、整形外科などの専門診療科との緊密な連携により、糖尿病の全身合併症の評価・治療を進めています。患者さんに糖尿病管理のポイントを理解してもらうため、入院中には「糖尿病教室」や栄養相談を実施しています。集団で実施する糖尿病教室では糖尿病内科医、歯科医、看護師、薬剤師、管理栄養士が講師となり、九州大学病院オリジナルの糖尿病教室テキストを使用して、糖尿病の病態から食事が病態に及ぼす影響、最新の糖尿病治療に至るまで分かりやすく説明し、患者さんが主体的に糖尿病に向き合うための動機付けができるようにしています。

個別に実施する栄養指導では、患者さん一人ひとりの糖尿病の知識や生活スタイルに合わせて、糖尿病療養指導カードシステムや本院オリジナルのリーフレットを用いて、患者さんやご家族と一緒に課題を見つけ出し、解決方法を提案しています。血糖管理や糖尿病に向き合って生活することに苦労や苦痛を感じている患者さんを対象として、日本糖尿病学会専門医である心療内科医師による心理・社会面からのアプローチをしている点も本院の特色です。

外来診療では、医師、看護師、管理栄養士が連携して、腎症の悪化を防ぐための「糖尿病透析予防指導外来」を開設しています。足のトラブルを早期に発見し、重症化を予防するための「糖尿病フットケア外来」も設置しています。糖尿病腎症の進行のリスクが高い患者さんや、動脈狭窄や神経障害があり足趾の潰瘍や壊疽が懸念される方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。
  • インスリンポンプ(左)と持続血糖測定器(右)

  • 九州大学病院オリジナルの糖尿病教室ノート

【2.小児科】
小児科は、福岡市の学校腎臓・糖尿検診での尿糖陽性(糖尿病疑い)、生活習慣病健診の精査医療機関であり、日本糖尿病学会専門医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科(小児科)専門医・指導医、臨床遺伝専門医の資格をもつスタッフが常在しています。小児に対する持続血糖モニタリング、インスリンポンプの導入、管理栄養士によるカーボカウントを含む食事指導が可能です。

【3.歯周病科】
糖尿病では歯周病が重症化しやすく、歯の動揺や喪失により咀しゃく機能が低下して食事療法に影響すること、逆に重症化した歯周病は、全身に軽微な慢性炎症を誘発してインスリン作用が阻害され糖尿病が悪化することなど、糖尿病管理の一環として口腔の健康維持が重要です。歯周病科では、歯科治療を積極的に受けてもらうために啓発活動に力を入れており、かかりつけ歯科医のない場合や専門的な治療が必要な場合には、歯科治療を実施しています。

【4.看護部】
外来におけるチーム医療として、糖尿病透析予防指導外来と糖尿病フットケア外来を設置し、多職種で連携して糖尿病患者さんの療養を支援しています。

<糖尿病透析予防指導外来>
医師と看護師、管理栄養士が糖尿病による腎症の悪化を防ぐための方法を患者さんとともに考え、支援しています。対象となる患者さんは、外来通院中の糖尿病患者さんのうち、HbA1cが6.5%以上または内服薬やインスリン製剤を使用し、糖尿病性腎症2期以上の方です(現在、透析療法を行っている患者さんは除きます)。

<糖尿病フットケア外来>
患者さんの足のトラブルを早期に発見して、重症化しないように支援します。対象となる患者さんは、外来通院中の糖尿病患者さんのうち、足潰瘍、足趾・下肢切断既往、閉塞性動脈硬化症、糖尿病神経障害のある方です。

以上のように、九州大学病院糖尿病診療支援センターでは、合併症の管理などで診療科横断的な治療を必要とされる糖尿病患者さんの支援のほか、糖尿病患者さんが必要な手術や高度先進医療を受け、十分な治療効果が得られるように支援しています。新しい糖尿病治療薬や最新のテクノロジーを用いた診療機器による糖尿病治療法の開発・推進にも取り組んでいます。従来の治療法で治療目標を達成できない患者さんがいらっしゃいましたらご相談ください。
【お問い合わせ先】
糖尿病診療支援センターヘの紹介・予約についてはこちら  
https://www.hosp.kyushu-u.ac.jp/iryo/