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病院からのお知らせ 2023年03月22日 循環器内科

【プレスリリース】ナチュラルキラーT細胞活性化による慢性炎症制御に基づく新たな心不全治療法に係る医師主導治験(第IIb相)の多施設での症例登録の開始

概要
重症心不全の主要な原因疾患である拡張型心筋症(※1: Dilated cardiomyopathy: DCM)は左室収縮機能の低下と左室内腔の拡張を特徴とする原因不明の指定難病であり、本邦における左室補助装置(※2)の植え込みや心臓移植を必要とする重症心不全患者の約7割を占めています。薬物・非薬物療法の進歩に関わらず、DCMは進行性の予後不良な心筋症であり、新たな治療法の開発が期待されています。

九州⼤学⼤学院医学研究院の筒井裕之教授を中心とする研究グループは、DCMを含む慢性心不全を対象に、ナチュラルキラーT (NKT) 細胞(※3)を活性化するリガンド(※4)であるスフィンゴ糖脂質・α-ガラクトシルセラミド(※5: α-Galactosylceramide[α-GalCer])を含有する樹状細胞(Dendritic cell:DC)(※6: α-GalCer/DC)の有効性及び安全性を評価する医師主導治験(第IIb相)を2022年前半より進めています。

本治験について、これまで九州大学において先行して症例登録を進めておりましたが、多施設での症例登録を開始することとなりました。本治験の参加施設は、国立循環器病研究センター、順天堂大学医学部附属順天堂医院、奈良県立医科大学附属病院、神戸市立医療センター中央市民病院、および九州大学病院の5施設です。

今後、多施設での症例登録により本治験の症例登録を加速し、本細胞製品の早期実用化を目指します。

【今後の展開】
九州大学において、DCMを含む慢性心不全を対象に本細胞製品を用いた安全性試験(第I/IIa相医師主導治験)が完了しました。現在、多施設にて医師主導治験(第IIb相)が進行中です。
αGalCer/DCを用いた新たな治療法の開発により、心不全に対する新たな治療が期待されます。

※についてはPDF内の【用語解説】参照ください

【αGalCer/DC】
【謝辞】
本治験は、日本医療研究開発機構(AMED)橋渡し研究プログラム「ナチュラルキラーT細胞活性化による慢性炎症制御に基づく新たな心不全治療の実用化」の助成を受けて実施されます。なお、本治験に使用する治験製品は、株式会社メディネットで製造され、提供されます。

【お問合せ先】
<医師主導治験(第IIb相)に関すること>
九州大学病院 循環器内科 診療准教授 井手 友美(イデ トモミ)
TEL:092-642-5360 FAX:092-642-5374
Mail: ide.tomomi.117@m.kyushu-u.ac.jp

<報道に関すること>
九州大学病院広報室
TEL:092-642-5205 FAX:092-642-5008
Mail:ibskoho@jimu.kyushu-u.ac.jp