呼吸器外科(2) 外科系

基本概要

外来窓口 外来4F
初診日 月・水・金
再診日 月・水・金
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診療科紹介

呼吸器外科(2)では、肺・縦隔などの胸部疾患に対する専門的な診療を行っています。近年増加している肺がんをはじめ、さまざまな呼吸器系悪性腫瘍について、総合的な診断、手術を中心とした治療、術後のフォローアップ、そして再発に対する治療を行っています。肺がんについては、呼吸器科や放射線科、病理部などと連携し、適確な診断と早期治療を行うことで、治療成績の向上を目指しています。縦隔腫瘍や胸膜中皮腫などの胸部悪性腫瘍への拡大手術も積極的に行っています。その他、転移性肺腫瘍、気胸、膿胸などの診断と治療も行っています。年間約250例の呼吸器手術を行っていますが、胸腔鏡を使用した低侵襲手術を積極的に推進しています。

主な対象疾患とその治療

肺がん

肺がんとは、肺を構成する細胞(気管支や肺胞の細胞)が何らかの原因でがん化したものです。進行すると、がん細胞が周りの正常組織を破壊しながら広がり、血管やリンパ管を通って全身へ転移します。肺がんは早い段階では無症状ですが、進行すると咳、血痰、胸痛などの症状が現れます。胸部X線検査やCT検査によって肺がんが疑われると、気管支鏡検査などで組織や細胞を採取して診断します。また、がんの広がり(進行度)を調べるために、PET検査や頭部MRI検査などを行います。

治療法は、がんの進行度と全身状態をもとに検討します。手術可能な比較的早期の肺がんについては、肺葉切除あるいは肺全摘術とリンパ節郭清(切除)を行います。より早期の場合は、肺の切除量が少ない縮小手術を行う事もあります。進行した肺がんには、抗がん剤や放射線治療に手術を組み合わせた集学的治療を行います。近年では、ほとんどの手術を胸腔鏡というカメラを用いて、小さい傷(約2-8cmの傷を数か所)で行います。当科では年間約150例の肺がん手術を行い、通常、術後1-2週間ほどで退院可能となります。

転移性肺腫瘍

肺は、体に必要な酸素を取り込むために全身の血液が循環する臓器で、血液のフィルターとしての役割も果たしているため、他の臓器にできたがん細胞が、血流にのって運ばれて肺に引っかかり、肺に転移が起こりやすい理由となっています。こうして各臓器のがんが、転移として肺に腫瘍を形成したものを、転移性肺腫瘍といいます。肺に転移するがんとしては、消化器がん、乳がん、泌尿器がん、婦人科がん、頭頸部がん、骨・軟部悪性腫瘍などさまざまです。自覚症状はないことが多く、原発腫瘍(元の臓器のがん)の経過観察中に、画像検査で発見されることがほとんどです。

治療方針は、原発腫瘍ごとに異なりますが、多くが進行がんであることから、抗がん剤治療が選択されることが多いです。原発腫瘍が切除または根治され、肺以外に再発がなく、すべての転移巣が切除可能であるなど、いくつかの条件を満たせば、肺病変に対する手術が行われます。手術は多くの場合、胸腔鏡を用いて、腫瘍周囲の肺を切除する肺部分切除が行われます。

縦隔腫瘍

縦隔(じゅうかく)とは、胸の中の、とくに、両側の肺の間の部位(または空間)を指します。縦隔には大動脈などの大血管、食道や気管などの重要な臓器が含まれます。縦隔に発生した腫瘍は総じて「縦隔腫瘍」と呼ばれています。縦隔腫瘍には、発生する臓器(組織)により、胸腺腫や神経原性腫瘍のほか、甲状腺腫、心膜嚢胞(のうほう)、気管支原性嚢胞、リンパ腫など、さまざまな種類があり、悪性腫瘍・良性腫瘍のどちらの可能性もあります。CT検査やMRI検査などの画像検査で発見されますが、腫瘍の種類を画像で診断することは難しく、診断と治療を兼ねた手術を行うことが一般的です。そのため、手術の後に診断がつくことになります。

多くの縦隔腫瘍は、切除することで完全に治りますが、悪性の縦隔腫瘍の中には、放射線治療や化学療法が必要となることもあり、再発することもあります。最近では、胸腔鏡を用いて、小さな創でより低侵襲な手術で切除することが可能となっています。

気胸

気胸とは、何らかの原因によって肺に穴があき、空気が肺の外に漏れ、肺がしぼんでしまう病気です。嚢胞(のうほう)という壁の薄い小さな風船のような構造物が肺の表面に発生し、破れることが原因の一つです。20歳前後の長身、痩せ型の男性に発症しやすい傾向がありますが、喫煙者で栄養状態が悪い高齢者にも起こります。症状は、突然の胸の痛み、息苦しさ、咳などで、胸部X線や胸部CT検査で診断されます。

肺のしぼみ具合が軽度の場合は、外来で経過観察可能ですが、中等度以上の場合は、局所麻酔下に「ドレーン」というボールペンほどの太さの管を胸の中に入れてたまった空気を外に出す、「胸腔ドレナージ」という処置が必要です。初発の気胸はドレナージのみで治癒することもありますが、空気漏れが止まらない場合、CTにて嚢胞が認められる場合には手術が勧められます。ドレナージのみで治癒できた場合でも再発率は30-50%と高く、再発時には手術が勧められます。手術は全身麻酔下で、胸腔鏡というカメラを用いて、原因となっている空気漏れの場所(嚢胞)を同定し、切除または結紮(けっさつ)する方法が一般的です。

膿胸

膿胸(のうきょう)とは、さまざまな原因により胸の中に病原性微生物が繁殖して膿(うみ)が貯留し、発熱や胸痛などの症状を引き起こす病気です。肺炎の後に発症することが多いですが、胸のけがや肺の手術後に発症することもあります。原因となる微生物として、細菌、真菌(カビ)、結核菌などがあります。発症して3か月以内の状態を急性膿胸、3か月以上経過した状態を慢性膿胸と区別します。胸部X線検査や胸部CT検査などの画像検査や、胸の中の貯留物の検査を行うことで、確定診断を行います。

治療法としては、胸の1か所の創からチューブを挿入し、貯留した膿を胸の外に排出する治療(ドレナージ治療)と、抗生剤治療が主体となりますが、それでも治らない場合には、手術による治療が必要となります。全身麻酔下に胸腔鏡というカメラを用いて、数か所の小さな創で膿を排出し、胸の中を洗浄する手術が一般的に行われますが、長期間にわたる膿胸が続いた場合や、治療に難渋する場合などには、肺表面の被膜を除去する手術(肺剥皮術)や、1、2本の肋骨を切除するなどし、胸の中を開放し、清浄化する手術(開窓術)を行うこともあります。治療には一般的に長期間を要します。