小児AYA世代がんフォローアップ外来 専門外来 等

基本概要

外来窓口 北棟5F
初診日
再診日
ご連絡先 092-642-5430

診療科紹介

小児がんの70%以上が治癒する時代となりました。一方、こどもたちの成長とともに、腫瘍そのもの、あるいは化学療法や放射線治療などが関与する晩期合併症の解決が新たな課題となっています。晩期合併症は、成長障害、下垂体機能不全、不妊などの内分泌異常、白質脳症、学習障害などの中枢神経障害、その他の臓器障害、白血病や脳腫瘍などの二次がん、など多岐にわたります。これらの中には年齢に伴って発症しやすくなり、治療終了後何十年も経過したのち、成人になってから症状があらわれることもあります。
思春期から青年期を経て成人するまでの過渡期であるAYA(adolescent and young adult)世代で問題となるがんには小児期特有のものからいわゆる成人がんまでさまざまです。AYA世代のがんは疫学的および臨床的情報に乏しく、実態が十分に明らかでないため、専門家の間でもまさに認識が高まりつつあるところです。患者さんに元気になっていただくためには、診療各科や多職種の細やかな連携が必要です。
小児からAYA世代にかけては、ライフステージが急激に変化する時期です。就学や就労、恋愛、結婚や生殖機能、価値観や死生観など個人で状況が大きく異なります。小児慢性特定疾患(20歳まで)、介護保険(40歳から)など医療費助成の狭間にあって、社会支援が不足していることも問題のひとつです。
当院では2014年4月~国内初のトランジショナルケア外来、小児がん拠点病院の取り組みとして、2015年4月~小児緩和ケアチーム、2017年10月~小児がん相談支援センターの活動を開始しました。さらに、多診療科、多職種共同にて2018年4月より小児AYA世代がんフォローアップWGチームを結成し、パイロット的に小児AYA世代がんフォローアップ外来診療を開始しました。小児科、小児外科の腫瘍専門医のみならず、小児内分泌、循環器専門医の他、血液腫瘍内科、脳神経外科、婦人科、泌尿器科、整形外科、耳鼻咽喉科、眼科、精神科など各診療科医師、薬剤師、看護師/チャイルド・ライフ・スペシャリスト/子ども療養支援士からなる小児がん相談支援員、ソーシャルワーカー、臨床心理士、管理栄養士、リハビリ、ボランティア、親の会など各種団体が協力して、晩期合併症やさまざまな心理社会的な問題に向き合う支援を開始し、横断的な診療とこれを支援するシステムを構築しつつあります。
近年閣議決定された第3期がん対策推進基本計画では、小児AYA世代のがん患者支援、ライフステージに応じたがん対策が、取り組むべき施策に位置づけられました。私たちが一丸となって、がんの治癒をめざすことはもちろんですが、先進医療のなかで患者さんががんと共存しながらも同世代の人たちと等しく夢と希望を抱くことのできる社会を実現させることが大切です。私たちは個人のニーズにあわせたきめ細やかな継ぎ目のない診療を実践する包括的支援体制を構築していくことが急務だと考えています。