研究と教育 歯内治療科

基本概要

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再診日 月-金
ご連絡先 092-642-6430
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研究

「歯髄」や「歯根膜」は歯を構成する重要な組織です。歯髄には神経の他に血管が含まれるため、歯髄がない歯は栄養が行き届かなくなり、歯髄がある歯に比べ抜歯のリスクが数倍になります。また歯根膜は歯を骨に固定するだけでなく、咬む力を受け止める役割や、周りの組織への影響供給を行います。したがって、歯髄や歯根膜は、歯の寿命へ大きな影響を及ぼす組織と考えられます。そのため、破壊された歯髄や歯根膜の再生は、歯の寿命を大きく伸ばすことへつながります。

歯内治療科では、歯髄や歯根膜の再生を実現させるため、①歯根膜幹細胞、歯髄幹細胞、iPS細胞等の幹細胞を歯髄や歯根膜再生に応用する研究、②ナノハイドロキシアパタイトを含む材料を応用した歯髄再生研究、③成長因子や細胞外基質を用いた歯髄や歯根膜再生誘導法に関する研究などを行っています。
 

①歯根膜幹細胞、歯髄幹細胞、iPS細胞等の幹細胞を歯髄や歯根膜再生に応用する研究

本研究では、近年ヒトiPS細胞から、歯根膜の再生に重要な働きを担うことが知られている歯根膜幹細胞を作製することに成功しました。歯根膜幹細胞は生体内にごくわずがしか存在しませんが、この技術を用いることで多量に入手することが可能となりました。
 

②ナノハイドロキシアパタイトを含む材料を応用した歯髄再生研究

この研究では、ナノハイドロキシアパタイトを添加することで、歯科材料の歯髄に対する硬組織形成誘導が上昇することを明らかにしました。この結果を基に、新しい歯科材料の臨床応用を目指しています。
 

③成長因子や細胞外基質を用いた歯髄や歯根膜再生誘導法に関する研究

この研究では、GDNF、Wnt5a、EGF、RSPO2、SEMA3Aなどの因子が歯髄や歯根膜に含まれる細胞に作用し、それらの増殖、遊走、硬組織形成能などに及ぼす影響を明らかにしました。これらの因子を歯髄や歯根膜の再生療法へ応用するため、研究を進めています。

そして、これらの研究結果を応用することで、歯髄や歯根膜を再生させる新しい治療法を開発することを目標としています。

教育

歯内治療科の教育対象は、学部学生、研修医、ならびに大学院生と多岐にわたります。

学部学生は3年生から6年生までが教育対象となります。まず学部3年生には、歯科保存学概論講義を行います。歯内治療科の教員に加え、外部講師による150分の講義を全15回行います。

学部4年生には、基礎実習を行います。模型を用いて歯内治療を行うことで、基礎的な歯内治療技術を習得します。またアーリーエクスポージャーならびにリサーチエクスポージャーとして、歯内治療に関連した研究計画を立案し、それに沿って研究を体験します。そして約1年半で得られた結果を、研究発表会で発表します。

学部5年生には、臨床予備実習を行います。実際の臨床に近い形での模型実習を行い、実践的な歯内治療技術を習得します。

臨床予備実習が終了した学生には、5年生から6年生にかけて臨床実習を行います。歯内治療科外来で、指導医の治療の見学や、患者さんの治療に携わることで、さらに実践的な歯内治療技術や、患者さんとのコミュニケーション方法などを習得します。

研修医には、研修医プログラムという教育プログラムに沿って、講義や実習を行います。これらの内容は、根管拡大法やレジン充填法といった基礎的なものから、外科的歯内治療やホワイトニングといった発展的なものを含みます。研修医ブログラムの受講により、さまざまな歯内治療症例に対応できる知識と技術を習得します。

大学院生は、指導医から与えられる研究テーマに沿って、研究を行います。大学院入学時から、研究手技、論文の読み方、研究発表の仕方、スライドの作成方法など指導を受けます。研究結果が揃ったところで論文の書き方を指導を受け、書きあがった論文を英語雑誌に投稿します。その後、卒業論文を作成し、学位審査を受けることで、学位を取得し、卒業となります。