基本概要
外来窓口
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北棟5F
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初診日
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月-金
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再診日
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月-金
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ご連絡先
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092-642-6450 |
備考
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※顔面口腔外科のホームページは現在作成中です
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診療科紹介
口腔には歯、歯肉の病気のみならず、口腔粘膜や顎骨の炎症、腫瘍、のう胞、先天および後天異常など、さまざまな疾患が生じます。顔面口腔外科では、大診療科である顎顔面口腔外科として顎口腔外科と協同し、これら全ての口腔疾患とこれに起因する組織欠損および機能障害に最新医療を提供しています。特に矯正歯科等と連携して、口唇口蓋裂、顎変形症等形成的な治療に注力しており、九州地区だけでなく、各地から広く患者さんを受け入れています。
主な対象疾患とその治療
口唇裂・口蓋裂は、唇や上顎の一部が癒合しない状態で生まれてくる先天的な口の病気で、口唇の人中の高まりに沿って、左右どちらか、あるいは両側に現れる口唇裂、歯茎や口蓋(上顎)に現れる(顎)口蓋裂があります。日本人では約500人に1人の割合で生じるといわれています。原因は多因子と考えられ、未だはっきりわかっていません。咬合、咀しゃく、発音などの口腔機能障害と美的障害を生じますが、手術、歯科矯歯、言語訓練などの集学的治療により、現在では治癒が可能です。
出生後早期から各方面の専門的なチームアプローチが必要です。顔面口腔外科では、矯正歯科、小児歯科・スペシャルニーズ歯科、耳鼻咽喉科、言語療法室、小児科などとの協力体制を作り、治療を進めています。おもに、生後3-6か月頃に口唇の手術を、1歳半から2歳頃に口蓋の手術を行います。術後は言語聴覚士による言語の評価・訓練を行います。その後は成長に応じて歯科矯正など、適宜必要な治療を決まった手順で、一貫治療を行います。
▼下記のホームページも参照してください。
デンタル・マキシロフェイシャルセンター:
http://www.maxillo.hosp.kyushu-u.ac.jp/
上顎(上顎骨)や下顎(下顎骨)の形、大きさや位置の異常によって生じるかみ合わせの異常(不正咬合)を顎変形症といい、しばしば、顔面の美的障害を伴います。具体的には、上下の顎の骨が前後的に大きくずれている上顎前突症や下顎前突症、正面から見て、顎の骨のずれのために顔面が非対称にみえる顔面非対称症、上下の前歯が接触しない骨格性開咬症などがあります。矯正歯科医とチームを作って治療にあたります。
顎変形症の治療は、手術直後に上下歯列が正しくかみ合うように行う術前矯正と、顎の骨を離断し、骨ごと歯列の空間的位置を修正して固定する外科手術と仕上げの術後矯正から成り立っています。これらは顎矯正治療と呼ばれ、口腔外科医と矯正歯科医の連携が必要です。当院では、カンファレンスで十分に討議し、綿密な治療計画を作成しています。
手術は全身麻酔で行うため入院が必要ですが、かみ合わせだけではなく口腔諸機能の回復と、調和のとれた顔貌の獲得が期待できます。
▼下記のホームページも参照してください。
デンタル・マキシロフェイシャルセンターHP:
http://www.maxillo.hosp.kyushu-u.ac.jp/
口の中全体を口腔と言い、ここにできるがんを口腔がん(口腔悪性腫瘍)と言います。口腔の表層は扁平上皮という粘膜で覆われ、そこから発生する扁平上皮がんが口腔がんの大多数を占めます。扁平上皮がんの約半数は舌に生じ、他に上下顎歯肉、頬粘膜などに生じます。最初は粘膜の表層に出来るため、口に関心があれば形態の変化(潰瘍や腫瘤形成)や疼痛などによって、比較的早期発見が可能です。
一般的には、腫瘍辺縁から約10mmの健常組織をつけて(安全域と言います)切除する手術療法が第1選択とされています。その他に、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)、免疫療法などがあります。単独での治療法や複数を組み合わせた治療法があり、患者さんの状態に合わせて最善の治療法を選択します。口腔は発音、嚥下、咀しゃくといった生活に欠かせない多くの機能があります。また、顔貌の変形が患者さんの社会面や心理面に大きく影響を及ぼします。このため切除部は、機能と美的回復を目指して、形成外科の協力を得て再建しています。
歯と歯槽骨欠損(歯科インプラント等を用いた顎口腔再建)
むし歯、歯周病、交通事故などで歯や歯の周囲を支える骨(歯槽骨)を失った場合、歯科インプラントなどを用いて、口腔機能と美的形状の回復を図ることがあります。この治療は義歯など通常の歯科補綴治療と異なり、インプラント体(チタン製人工歯根)埋入手術やそれに関連した骨や歯肉の手術が必要です。ただし、重度の歯周病の方、喫煙などの生活習慣や全身疾患がある場合などは、それらの改善がなければインプラント治療ができないことがあります。
通常、手術は口腔外科、かみ合わせの回復は補綴科が担当するため、治療は再生歯科・インプラントセンターで集学的に行います。インプラント治療に関する手術としては、インプラント体埋入手術やそれに関連した骨や歯肉の手術などがあります。インプラントを支える骨が足りない場合には、人工骨や患者さん自身の骨を使用して骨造成術を行います。歯科治療に恐怖心がある場合には、歯科麻酔医師の管理により、恐怖心をできる限り取り除いた上で治療が可能です。
顎関節症は、顎の周囲の筋肉痛(咀しゃく時痛)や耳の前方部の痛み(顎関節痛)、開閉口時の顎の雑音(関節雑音、カクカク、ジャリジャリ)や、口が開けづらい(開口障害)などの症状を生じる疾患の総称です。原因は歯ぎしりや食いしばりなどの悪習癖、噛み合わせの異常、精神的ストレスなどさまざまです。診断はこれまでの病歴を聴取し、臨床所見、単純X線検査やMRI検査などにより行います。他に、口を開けた後に閉じられなくなる顎関節脱臼も頻度の高い顎関節疾患です。
鎮痛薬の内服・外用による薬物療法、マウスピース装着、マッサージなどによる保存的治療がほとんどです。関節円板(軟骨)障害や変形性関節症の場合は、関節腔内洗浄療法や顎関節外科手術を行うこともあります。(かみ合わせ異常が原因の場合は咬合補綴科で治療を行います)。顎関節脱臼に対しては徒手的に整復処置を行いますが、反復する場合や、発症から1か月以降を過ぎて(陳旧性)も整復困難な場合には、手術を行うこともあります。
顎顔面外傷は、交通事故や転倒、スポーツ中の事故などさまざまな原因で起こります。歯や歯周組織の損傷(歯の破折や脱臼、歯肉の損傷など)、顎骨骨折、顔面軟組織の損傷(口唇や顔面皮膚の損傷など)などがあり、受傷部位の痛み、出血、かみ合わせの異常、開口障害や咀しゃく障害などの症状を伴います。早期の正確な診断と治療が重要で、多くは外科的な対応が必要となります。
症状に応じて、歯の整復固定や縫合処置などの軽微な処置から全身麻酔下での手術まで対応しています。この領域の外傷では、受傷部位の処置だけでなく、かみ合わせや見た目の回復も重要となります。早期に機能的、審美的な回復が得られ、もとの生活が送れるように治療を進めていきます。また、受傷原因によっては、頭部をはじめ全身の評価が必要となります。当科では救命救急センターなどと連携し、適切な対応ができる体制を整備しています。
その他
すべての口腔外科疾患に対応していますが、口唇口蓋裂、顎変形症、口腔悪性腫瘍は専門診療班を設け、口腔外科指導医・専門医4名、口腔外科専門医3名を中心に専門性の高い診療を行っています。急患は24時間体制で対応し、紹介医と密に連絡をとり、患者さんとその家族に解りやすく説明した上で治療します。疾患によっては院内他科(医科・歯科)と密に連携し、最適な治療を行います。