研究と教育 顔面口腔外科

基本概要

外来窓口 北棟5F
初診日 月-金
再診日 月-金
ご連絡先 092-642-6450
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研究

1.顎変形症患者での骨切り術前後における新しい顔面3次元形状評価の開発

顔面口腔外科では、顎変形症の患者さんを対象として、骨切り術後の顔貌モデルの予測検討に関する「臨床研究」を行っています。本研究では、顎変形症患者の骨切り術前後における顔貌の変化について、三次元カメラやCTでの撮影で得られた三次元画像データを用いて形態分析し、顎変形症患者における骨切り術後の顔貌モデルの予測を目的としています。

研究の全体像として1) 健常者を対象とした顔貌形態の評価方法を確立したのち、2)顎変形症患者における骨切り術前後での顔貌形態の変化を分析して、3)骨切り術前の顔貌形態をもとにした術後の顔貌形態の予測モデルの検討を行います。

評価方法として、すべてのモデルが同一のポリゴン数を持ち、かつ共通した解剖学的ランドマークを有するように加工する相同モデル化という処理をしたうえで、主成分分析をします。測定結果と取得した情報の関係性を分析し、骨切り術前後における顔貌の形態変化の評価方法を明らかにし、実臨床に直結させています。
 

2.口腔癌原発巣と頸部リンパ節転移巣から樹立した細胞株における生物学的特性と転移関連遺伝子の解析

これまでがんの転移に関する研究報告は、切除物の原発巣と転移巣を組織学的に検討したものや、原発巣の細胞株をヌードマウスに異種移植して転移巣の細胞株を比較検討した手法が一般的でした。当科では、臨床に則して患者さんの原発巣と転移巣から細胞株を樹立し、その2つのがん細胞株について、網羅的な遺伝子解析を行い、転移関連遺伝子について生物学的特性を踏まえて検討しました。

原発巣細胞株と比較して、転移巣細胞株では、増殖能・遊走能・浸潤能が高いことが確認されました。また、ヌードマウスの生体内移植においても、腫瘍形成能、転移能ともに高く、転移巣細胞株は転移巣より樹立した細胞株としての性質を十分保持していることが確認されました。マイクロアレイにより転移関連遺伝子候補として MAGEC1、MMP7、SNAI1、MACC1、HTRA1が挙げられました。これらは転移巣の癌細胞の特性を解明する上で重要であり、治療の標的因子となりうることが示唆されました。

教育

歯科学生・初期研修歯科医の皆さん
皆さんは口腔外科にどのようなイメージを抱いていますか?

智歯抜歯、口腔癌、骨折などの外傷、顎変形症や口唇口蓋裂などの手術を行う診療科でしょうか?手術で朝も早いし、入院患者さんがいるから夜も遅くなり大変そうだし、一般歯科診療が少なくて手が動くようにならないのでは…など、口腔外科を選択することに不安を抱くかもしれません。

確かに、一般診療の保存・補綴治療を行うことは少ないです。しかし、口腔外科は「口腔外科」と「口腔内科」の分野を広くカバーしています。「一口腔を診るのではなく、全身の一部として口腔領域を診る、そしてその患者さんの背景にあるものまで観察し、全人的に患者さんを診る」科です。出生前の胎児診断後の病状説明から始まり、出生直後から90歳を超える患者さんまで、さまざまな年齢層、疾患の患者さんを診ています。歯科医師の第一歩を踏み出す時にこのような環境で研鑽を積む事はこれからの歯科医師人生にとって大切な事だと思います。

初期研修医終了後、当科に後期研修医、または大学院生として入局すると、1年目は病棟、外来研修を半年ずつ行います。その後は、大学院で研究をしながら口腔外科研修を行う、後期研修医継続で口腔外科研修を行う、そして関連病院で口腔外科と一般歯科研修を行うなどの場合がありますが、いずれの場合も口腔外科認定医取得を目標に研修を行います。その後は、それまでに培った事を糧に、自分の歯科医師としての目標に向かいます。

現在、一般歯科を開業している先輩には口腔外科以外の領域でも全国的に有名な重鎮、中堅注目株と目されている先生も多数います。皆、当科で学んだ事を基礎としてそれぞれの道で活躍し、一般歯科を行う上でも当科で学んだことが大きかったと言っています。また、病院歯科で活躍する先輩や、大学で臨床研究を続けて教授になられた先輩も多数います。

当科は「来るもの拒まず」という科風で、多くの出身大学の歯科医師が集っています。また上も下もなく自由に意見を出し合って討論するという科風、On Offを使い分け、規律は守るが自由で楽しい科風は、初代教授から3代教授の現在まで引き継いだ伝統となっています。女性も働きやすい環境で女性歯科医師も多く、共働きの男性歯科医師も子どもの病気時の育児などで協力し合う、和やかな雰囲気も自負するところです。

歯科医師としての第一歩の研鑽を積む場として、そして「同じ釜の飯を食べた仲間」として末長く繋がっていく場として、当科へ入局する仲間を、私達は待っています。