研究と教育 内分泌代謝・糖尿病内科

基本概要

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再診日 月-金
ご連絡先 092-642-5302
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研究

当科では、伝統的に多くの副腎疾患の診療に携わっています。近年では、希少疾患は、そのレジストリを作成し診断、治療、予後の評価を行い、疾患の克服へ向かうことが期待されています。現在、日本医療研究開発機構 (AMED)に採択された2つの重要課題が進行中です。

1つは、京都医療センターを主体とした全国規模の多施設共同研究「難治性副腎疾患の診療に直結するエビデンス創出」で、全国的に見ても経験症例豊富な当科は、大きな役割を担っています。特に原発性アルドステロン症(PA)においては、発症に関連する遺伝子が解明され急展開し、東京医科歯科大学と共同で、PA発症遺伝子のエピゲノム調節機構に着目し、診断に活用できる新たなバイオマーカーの開発を目指しています。

もう1つは、「患者レジストリを活用した難治性クッシング症候群(CS)及びサブクリニカルクッシング症候群の病態解明と11β-HSD1阻害剤の臨床開発」です。新たなCSの薬物治療を目標に医師主導治験を開始し、今後の難治例、手術困難例など、多くの患者さんの福音となることが期待されます。

また、日本糖尿病学会の事業の一環として、全国で取り組まれている電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用した糖尿病に関する臨床情報収集に関する研究(略称:J-DREAMS)を当院では第三内科を中心に進めています。

本研究では、専門施設に限らない多施設多症例の情報を集約した、これまでにない大規模なデータベースを構築し基盤的検討を行います。糖尿病はさまざまな疾患の危険因子ですが、患者さんがリスクを減らし、生活の質を維持することにつながる臨床研究も行っています。例えば、高齢化が進むわが国において大きな社会問題となっている認知症ですが、どのような糖尿病治療が、認知機能低下抑制に効果的であるかを調査しています。また、糖尿病は駆出率が保たれた心不全(heart failure with reduced ejection fraction :HFpEF)を合併しやすく、HFpEFに伴う生命予後は不良です。循環器科・放射線科と共に、心臓保護効果が注目されるSGLT2阻害薬投与によるHFpEFの改善効果およびそのメカニズムを検証しています。さらに、同作用機序の薬剤を用いて、筋力量低下予防に焦点を当てた薬剤と運動の併用療法を行う臨床研究も進行中です。

教育

学生教育としては、医学部生や大学院生を対象とした講義と、医学部5、6年生を対象とした臨床実習指導を行っています。学生講義では、医学部3年生に対する「臨床医学Ⅱ-②」の「内分泌・代謝・老化概論」、4年生では「系統医学Ⅲ」の「内分泌・代謝領域」、「医学総合講義」の「老年病学」を担当しています。大学院講義では、医学系学府医学専攻博士課程の「臨床研究専門教育科目」の「ゲノム薬理学とEBM」を担当しています。

また、研究室配属では、対象となる医学部3年生が、研究に必要な手技や姿勢・思考を早期から学び、医学研究への興味・関心を持つことを目標として指導教官・在学大学院生が一丸となり、指導を行っています。その他、医学部4年生の診察手技試験(OSCE)で試験官を担当し、臨床実習へ臨む学生の診察技術や医療面接を指導しています。

卒後教育としては、後期研修期間中に九州大学病院や関連病院において、糖尿病・代謝・内分泌疾患を中心とした各疾患の診療指導を行っています。糖尿病領域では特に、(i)糖尿病診療を取り巻く社会的背景と治療目標の関係について知る。(ii)糖尿病患者さんの個々の病態に応じた治療法の選択と適切なICが可能になる。(iii)在宅自己管理について患者さん教育ができる。(iv)糖尿病血管合併症の検査計画を立てる。(v)糖尿病チーム医療のリーダーシップをとれる。このようなトレーニングにより糖尿病診療の総合力を身につけてもらい、糖尿病専門医取得に向けた教育を行っています。

内分泌領域では、特異的な薬物負荷検査による内分泌機能評価、画像検査(CT、MRI、核医学検査、血管造影検査)による疾患診断法を身に付けるとともに、各種内分泌疾患に対する薬物療法、RI療法、手術療法の選択や施行法を学ぶことができます。また、甲状腺エコー、甲状腺穿刺吸引細胞診の手技も取得可能です。

当科では、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本肥満学会認定肥満症専門医、日本老年医学会認定老年病専門医、日本甲状腺学会認定専門医の取得に必要な経験や知識を修得することができます。九州大学病院は、3つの認定教育施設(日本内分泌学会、日本糖尿病学会、日本老年医学会)および肥満症専門病院(日本肥満学会)に登録され、豊富かつ多彩な内分泌・代謝領域の診療経験を積むことができます。