各診療グループ毎に基礎研究と臨床研究を2本の柱として、心血管病の病態解明や、新たな治療方法の開発を行っています。現在多くの臨床研究が進行中ですが、以下にその一部を紹介します。
本学が中心となり、日本全国規模(約1万人)の心不全の実態調査としてJROADHF研究が進行中で、わが国の心不全の実態と適切性を示すデータの創出を目指しています(AMED「循環器病医療の適正化に資するための、全国大規模データベースによるエビデンスの創出」)。また、基礎研究をさらに発展させたトランスレーショナルリサーチとして、心不全の新たな治療法の開発を行い、ナチュラルキラーT細胞活性化による「樹状細胞を担体としたα-GalCer/DCを用いた拡張型心不全治療の実用化研究」として、動物実験と平行して医師主導治験(AMED, step 2)や、「わが国における拡張相肥大型心筋症を対象とした登録観察研究」「ICTを用いた植込型VAD患者の在宅管理の有用性の検討(IT-LVAD)」「特定疾患治療研究事業における臨床調査個人票を使用した心筋症の臨床研究」などが進行中です。
当院は九州・中国地方での肺高血圧症の拠点病院となっています。慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対して、経口抗凝固薬の有効性・安全性を確立する全国規模のレジストリを構築し、世界初のCTEPHに対する抗凝固療法のリアルワールドエビデンスを発信することを目的として、AMED難治性疾患実用化事業「CTEPHに対する抗凝固療法の有効性・安全性に関するレジストリ研究」が行われています。
九州心血管インターベンションカンファレンス(QcVIC)を主催し、冠動脈疾患に関する多施設介入研究について成果報告し、さらに酸化コレステロールに関するさらなる研究が進行中です。循環器疾患レジストリ研究として、虚血性心疾患および心不全患者のデータを対象とした臨床データ登録システム(MCDRS)に登録されたデータを用いて、治療の費用対効果の検証等を実施中です。
全国規模の観察研究「非弁膜症性心房細動を有する後期高齢者を対象とした前向き観察研究(ANAFIE registry)」では、心エコーデータと予後の関係を解析するサブグループ研究の事務局を担当する他、「肺静脈起源の心房細動における肺静脈内の電気生理学特性」、「Non PV triggerとしての左心房low voltage areaの役割」「Fontan術後症例の抗凝固療法における血栓塞栓症・出血性合併症に関する検討」などが進行中です。
福岡市立こども病院と連携し、Fukuoka Fontan Registryを構築し、わが国で最大のFontanデータベースを用いて、「Fontan患者の長期予後解析」を行い、また「Fontan術後症例の抗凝固療法における血栓塞栓症・出血性合併症に関する検討」などの観察研究を行っています。
久山町研究と連携し、「NT-proBNPの認知症発症に関する研究」などを行っています。
その他、多くの全国規模の臨床研究、企業治験、医師主導研究に参加し、その成果について精力的に発表を行っているところです。