耳鼻科領域 経鼻手術 内視鏡外科手術

耳鼻科領域

経鼻手術

慢性副鼻腔炎、鼻副鼻腔腫瘍、アレルギー性鼻炎

耳鼻咽喉・頭頸部外科 助教  村上 大輔

耳鼻科領域の内視鏡手術について、
耳鼻咽喉・頭頸部外科 村上大輔助教が回答します。

耳鼻科領域での内視鏡手術は、いつ頃から始まりましたか?どのくらいの症例数がありますか?

内視鏡下鼻副鼻腔手術の内訳
表1内視鏡下鼻副鼻腔手術の内訳 (2014年、2015年)
当科では、1995年から内視鏡を用いた鼻副鼻腔手術を行っています。現在では、年間80名を超える患者さんに手術を行い、これまでに1,000名以上の実績があります。2014年、2015年の手術内訳を表1に示します。
 

手術の適応についてお聞かせください。

主な対象疾患は内服薬での治療で改善しない慢性副鼻腔炎です。副鼻腔はいくつかの空洞に別れ、鼻腔とつながっていますが、副鼻腔の病的な粘膜を手術で取り除き、各副鼻腔をひと続きの空洞として、鼻腔へ大きく開放します(図1)。最近は喘息を合併し、鼻内のポリープや嗅覚障害を伴う難治性の副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)に対する手術が増加しています。

またアレルギー性鼻炎の患者さんに対しても内服薬で症状が改善しない、できるだけ内服薬を服用したくないなど患者さんの病態やニーズに合わせて鼻水や鼻づまりを軽減するために、後鼻神経切断術や下鼻甲介粘膜下骨切除術、鼻中隔矯正術なども行っています。
術前後のCT 画像
図1 術前後のCT 画像

術前:両側の篩骨洞上顎洞炎を認める
術後:篩骨洞、上顎洞は中鼻道に大きく開放、副鼻腔炎は寛解している

一般的な術後の経過は、いかがでしょうか。

術後問題がなければ、手術当日から食事を含む通常の生活を送ることができます。創部からの出血を予防するために鼻内にガーゼを2日間程度留置することもありますが出血が収まれば術後3-4日程度で退院となります。鼻内手術では術後の鼻処置を適切に行わないとせっかく手術を行っても傷が癒着したり開放部分が閉鎖したりすることがあります。退院後も鼻内の傷が完全に治るまでの約1-3か月は、月に1回程度、外来受診して傷の治りを確認します。

手術創と手術後の経過はどのようになりますか?

鼻の穴から内視鏡と手術器具を挿入し手術をするので顔に傷が残ることはありません(写真)。
写真 3D内視鏡手術
写真 3D内視鏡手術

鼻の穴から内視鏡、手術器具を挿入し、拡大した術野をモニターで見ながら手術を行う

おもなメリットは何でしょうか。

一番の利点は、内視鏡で拡大して手術を行うので良好な視野が得られ、狭い鼻内でも安全で確実な手術ができることです。

また、従来の副鼻腔手術は上唇の裏を切ってアプローチをする方法でしたので、術後の頬の腫れ、強い痛み、頬の痺れが残るといった症状がありましたが、鼻内手術ではそういった症状はありません。

現在の取り組みについてお聞かせください。

近年のCT 画像や手術器具の進歩は目覚ましいものがあります。術前検査で病変位置、深さ、広がりが正確に把握できるようになったため、それらの情報をもとに検討を行い、個々の患者さんにもっとも適した方法を選択し、実施しています。

かつては顔にメスを入れていた前頭洞、眼窩底骨折、鼻腔腫瘍の手術も極力侵襲の少ない内視鏡を用いた鼻内手術を行っています。

また解剖学的に難しい場所(頭蓋底や内頸動脈、視神経管近傍)にある病変に対しては、安全のため3D内視鏡や九州大学で開発された最新のナビゲーションシステムを併用した手術を行っています。さらに2017年度からは最新の4K技術搭載の内視鏡システムが導入される予定でこれまで以上により安全、安心に手術ができる体制となります。
さらに他科との合同手術も積極的に行っています。鼻閉を伴うような外傷性斜鼻や鞍鼻の手術は形成外科と合同で行い(外鼻形成は形成外科医が行い、鼻腔内は内視鏡を用いて耳鼻咽喉科医が整復)、手術症例数は徐々に増加しています。

内視鏡手術の適応に関するご相談・ご紹介は随時、受け付けています

耳鼻咽喉・頭頸部外科鼻外来までお気軽にお問い合わせください(TEL:092-642-5681 初診日: 火・木 再診日:月・水・金)。
九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科
http://www.qent.med.kyushu-u.ac.jp/