胸部領域 胸腺、縦隔 内視鏡外科手術
胸部領域
胸腺、縦隔
縦隔腫瘍:胸腺腫
呼吸器外科 助教 大薗 慶吾
縦隔領域:胸腺腫の内視鏡手術について、
呼吸器外科 大薗 慶吾助教が回答します。
縦隔領域での内視鏡手術は、いつ頃から始まりましたか?どのくらいの症例数がありますか?
手術の適応についてお聞かせください
どのようにして手術を行いますか?
一般的な術後の経過は、いかがでしょうか
鏡視下手術の場合、ドレーンを抜去後(術後翌日から 2、3日目)から入浴が可能となり、およそ 5日で退院となります。通常の胸骨正中切開による手術では術後一週間ごろ抜糸を行い、10日前後で退院になります。鏡視下手術では早期退院が可能です。
手術創はどのようになりますか?
手術後の外貌を写真 2、3に示します。写真 2は鏡視下手術の創で、約 5cmの傷とその下に 1cmのスコープ挿入のための創があります。写真 3は通常の胸骨縦切開の手術創の写真です。鏡視下手術では胸骨を切開せず、手術創もかなり小さくなります。
おもなメリットは何でしょうか
美容上のメリットはもちろんですが、術後の疼痛が大幅に軽減します。また、回復が早いため、入院期間もかなり短縮します。
通常手術と比べて術後成績はいかがですか?
胸腺腫のType B2-B3・C 症例には術後放射線照射を追加して行っています。予後は比較的良好で過去 5年間の症例に死亡例はなく、完全切除されたTypeA・AB・B1 胸腺腫症例は全例無再発生存中です。従来の胸骨正中切開による手術成績と、遜色ない成績といえます。
現在の取り組みについてお聞かせください
重症筋無力症を合併した胸腺腫では、鏡視下拡大胸腺全摘を含めた胸腺腫摘出を行っています。前縦隔の周囲臓器浸潤を伴わない腫瘍に関しては、たいへん有用な手技と考えています。
腫瘍径が大きくなると縦隔内のワーキングスペースが狭くなり、手術操作が制限されます。今後はこのような場面でも安全に鏡視下操作が行えるように、技術面での検討を進めていきます。