消化器領域  胆道 内視鏡外科手術

2021年4月1日

消化器領域

胆道

良性・悪性疾患

胆道・膵臓・膵臓移植・腎臓移植外科 教授 中村 雅史

消化器領域:胆道の内視鏡手術について、
胆道・膵臓・膵臓移植・腎臓移植外科 中村 雅史教授が回答します。 

胆道領域での内視鏡手術は、いつ頃から始まりましたか?どのくらいの症例数がありますか?

先天性胆道拡張症は胆道(肝外胆管もしくは肝内胆管)が拡張する先天性の疾患であり、膵液が胆管内に逆流することで高率に胆道癌が発生します。そのため、発癌を予防する目的で拡張胆管と胆嚢を切除し、胆汁と膵液を分流するための胆道再建を行う必要があります(図1)。本術式は高度な手術手技を要するため内視鏡手術の導入は世界的に遅れていましたが、当科では1996年に世界で初めて成人例での腹腔鏡下胆道拡張症手術を行い、2020年3月までに計50例の腹腔鏡下先天性胆道拡張症手術を行っています(図2)。2015年のメタ解析で先天性胆道拡張症に対する内視鏡手術の低侵襲性が証明され、2016年4月より保険診療で行うことが可能になりました。今後ますます内視鏡手術が増加していくと思われ、当科は同分野のリーディング施設として数多くの知見を国際的に発表しております(図3)。
  • 図1 手術の概要

    (図1)手術の概要

  • 図2 腹腔鏡下胆道拡張症 手術の様子

    (図2)腹腔鏡下胆道拡張症 手術の様子


(図3) 発表された論文

手術の最新情報を教えて下さい

内視鏡手術導入期は、胆管切除は内視鏡で行い高度な吻合技術を要する胆道再建は小開腹下に行っていました。2006年からは胆管切除・胆道再建のすべての工程を完全鏡視下で行うようになり、在院日数が低下するなど良好な成績をあげております(図4)。2020年からは胆管空腸吻合に内視鏡手術支援ロボット“ダヴィンチ”を用いてより緻密な縫合を可能にするなど、日々手技は向上しています(図5)。先天性胆道拡張症に対するロボット支援下手術はまだ保険収載されておらず自費診療となりますが、本院倫理委員会の承認のもと臨床試験として安全に遂行しております。
  • (図4)手術成績の推移

  • (図5)ダヴィンチを用いた内視鏡手術の様子

一般的な術後の経過は、いかがでしょうか

内視鏡手術は創が小さく、痛みも少ないと言われています。腹腔鏡下先天性胆道拡張症手術は開腹での手術に比べて腸管機能の回復が早く、早期に退院できることがわかっています。術後合併症の頻度は開腹と同等もしくは良好な成績をもたらす可能性があると言われ、その普及に高い期待が寄せられております。

手術創はどのようになりますか?

図6 手術後の創
(図6)手術後の創
腹腔鏡下先天性胆道拡張症手術は、 8mmと12mmの計 5か所の創で手術を行います。切除した胆管・胆嚢を取り出す際に臍部の創を 3-4cmに延長しますが、臍の創は縮むため最終的には目立たなくなります。(図 6)の写真はロボット支援下腹腔鏡下先天性胆道拡張症手術後の創で、ほとんど目立たないことがお分かりになると思われます。
 

九州大学病院で手術が受けられますか?

先天性胆道拡張症と診断され内視鏡手術をご希望される方は、是非当科へお問い合わせください。適応に関しては患者さん個々の状況に応じて異なりますので、検査が必要となりますが、ほとんどの方は内視鏡手術が可能と思われます。
 

内視鏡手術の適応に関するご相談・ご紹介は随時、受け付けています

胆道・膵臓・膵臓移植・腎臓移植外科外来までお気軽にお問合せください。
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