研究と教育 消化管外科

基本概要

外来窓口 外来4F
初診日 月-金
再診日 月-金
ご連絡先 092-642-5453,5479
ホームページはこちら

研究

消化管外科では、多くの臨床研究を実施しています。
臨床研究とは、病気の病態解明を目的としたものから、新たな治療法や医療機器の介入などによる改善効果に至るまで、患者さんにとって有益な治療を明らかにするため幅広く行われる医学研究です。事前に研究目的や研究内容を、科学的や倫理的に厳密に検討して、臨床試験倫理審査委員会で承認された後に研究を実施しています。臨床研究は大きく1)医師主導臨床試験、2)医師主導もしくは企業治験、3)基礎研究があります。特に2)医師主導もしくは企業治験は、保険診療では通常用いない、新規薬物に関する研究となります。

現在当科では、食道がん術後治療、切除不能食道がん、胃がん術前治療、切除不可能胃がん、切除不能大腸がん、局所進行直腸がんなどを対象とした、数多くの医師主導試験、企業治験を行っています。治験参加者には、治験コーディネーターと主治医から、治験の内容や意義、効果、安全性などについて、詳しい説明を行います。
当科では、以前よりゲノム医療にも力を入れ、医師主導試験としてGI-SCREENに参加してきました。これは「頻度は少ないが有望な治療薬があるがん患者さん」をゲノム解析を通じて全国規模で見つけ出し、新しい治療薬が届く環境を整備する目的で設立された組織です。胃がんや大腸がんのような罹患率の高いがんでも、特殊なゲノム変異が見つかり、有望な治療薬がみつかることがあります。2019年より遺伝子パネル検査が保険適応となりました。しかし、そのほかにもゲノム検査をする手段がありますので、ぜひご相談ください。今後も患者さんの治療に関して有効と考えられる治療法を取り入れ、積み重ねたエビデンスを世界に発信することを目標に、臨床研究を行っていきます。

教育

消化管外科は100年以上の歴史のある教室で、高い人格と知識を持った外科医の育成に取り組んでいます。
全国的にみると外科医は減少傾向で体力的、時間的な制約などがその敬遠される理由と思われます。しかし外科医は手術によって目の前の患者さんを自らの手で治療し、救うことができます。『がん患者さんの病巣を完全切除し、がんの「根治」を達成する』、『致死的な腹膜炎の患者さんを緊急手術により救命する』など自らの手で患者さんの命を救うことができる治療は外科治療ならではです。日本中に外科医を必要とする患者さんが今現在もたくさんいるのです。

平成30年4月1日から新専門医制度が導入され、外科専門研修スケジュールが変更されています。外科専門医を取得するには、初期研修終了後に日本専門医機構が認定した外科専門医研修プログラムの下で、最低3年間の研修を行い、必要な執刀数や症例数を経験しなくてはなりません。九州大学病院の外科専門研修プログラムでは一般外科・心臓血管外科・小児外科の連携の下、幅広く数多くの外科症例を経験することができます。
消化管外科では各疾患グループとの協力体制をとることで消化管だけでなく、呼吸器、内分泌、乳腺、肝胆膵、移植、血管外科などの専門性の高い領域に専門医を配置し、充実した指導体制を整えています。九州はもちろん全国に及ぶ関連施設において、出身大学や男女の別なく若手外科医の手術手技研鑽を全力で指導しています。関連施設と連携し、後期研修医がスムーズに外科専門医を取得できるようなローテーションプログラムを企画・構築しています。外科専門医はもちろん、サブスペシャリティ専門医、高度技能医、内視鏡外科技術認定医などの取得が可能です。

また「疾病・病態の分子機序解明」に主眼を置いた研究に取り組むことにより、自らの研究を世界へ発信し、世界で活躍できる人材の育成を目指しています。ほぼすべての医局員が医学博士号を取得し、さらに研究や臨床のために欧米留学することを推奨し、つねに海外へ5-10名の留学者を派遣しています。

外科医は患者さんの体にメスを入れることが許される代わりに、患者さんの命に全責任を負うことになります。外科医の熱意、知識、努力が直接患者さんの心と体を救うこともあります。時には厳しい現実を目の当たりにすることもあります。しかし大変な手術を乗り越え、日一日と回復し、元気に退院する患者さんを目の当たりにすると、何にも代えがたい充実感を覚えることも確かです。我々と苦楽を共にし、研修に励みましょう。一緒に手術ができる日を楽しみにしています。