前立腺全摘除術は、比較的早期に見つかった転移が無い前立腺がんに行う手術です。前立腺と精のうという精液を貯める臓器を摘出し、膀胱と尿道をつなぎ合わせます。病気の進行度合いなどにもよりますが、前立腺の近くに存在するリンパ節をあわせて摘出することもあります(リンパ節郭清術)。当科では体に負担が少ないロボット手術を行っており、直近の5年間では全例ロボット手術で行っています。
膀胱がんが疑われる患者さんにまず始めに行う手術です。尿道から内視鏡(膀胱鏡)を挿入し、膀胱がんを内側から切除します。この手術により腫瘍組織を採取し、膀胱がんの診断も行いますので、診断と治療を兼ねた手術と言えます。膀胱の筋肉に浸潤していない表在がんであれば、この手術のみで治療できる可能性があります。
また当院では、光線力学診断補助下TURBTという手法を導入しています。これは、手術を行う前に5-アミノレブリン酸という薬剤を投与して、膀胱がんの組織を光らせる方法です。そのため膀胱がんが見つけやすくなり、膀胱がんの治療成績が良くなることが証明されています。
筋肉に浸潤する進行がんは、ほとんどの場合TURBTのみでは治療が不十分です。そのような進行がんであり、かつ他の臓器に転移がない患者さんに対して行う標準的な手術が膀胱全摘除術です。通常の場合、男性は前立腺・精のう・尿道を、女性は子宮・卵巣をあわせて摘出します。膀胱を摘出した後に、尿の出口を作る手術(尿路変向術)をほとんどの場合で追加します。2018年より膀胱全摘にもロボット手術が保険適用となりました。当科では特殊な事情がない限り膀胱全摘除術もロボット手術で行っております。
腎部分切除術は早期(転移がない7cm以下の)腎がんに対して第一選択となる手術です。以前はがんを腎臓ごと摘出する根治的腎摘除術が行われることも珍しくありませんでしたが、近年腎部分切除術を行ったほうが長期間の治療成績が良いことがわかりました。そのため当科でも腎部分切除術を積極的に行っています。以前は開腹手術で行っておりましたが、こちらも現在はほぼ全例をロボット手術で行っております。
根治的腎摘除術は腎部分切除術と同様に腎がんに対して行われる手術です。7cmを超える腎がん・技術的に部分切除術を行うことが難しい腎がん・腎臓周囲への浸潤が疑われる腎がんなどに対して行います。ほとんどは腹腔鏡手術で行いますが、がんの進行度合いによっては開腹手術を行うこともあります。
腹腔鏡下腎尿管全摘除術は転移がない腎盂・尿管がんに対して行う手術です。腹腔鏡下根治的腎摘除術と同様の方法で、最初に腹腔鏡手術で腎臓周囲の剥離を行います。この手術では尿管を膀胱の近くで切断しなければならないため、腹腔鏡手術による腎臓周囲の剥離が終了した後に、下腹部に10cm程度の切開を加えて尿管の切断を行います。そして下腹部の切開から腎臓・尿管をまとめて摘出します。
副腎は腎臓の頭側にある体に必要なホルモンを産生する臓器です。副腎にできる良性腫瘍の中にはホルモンを過剰に産生してしまうことにより様々な症状を引き起こすものがあります。そのような場合、手術で腫瘍を副腎ごと摘出することがほとんどで、この手術を副腎摘除術と言います。ほとんどの場合で腹腔鏡手術を行います。稀ですが副腎にもがんが発生することもありますが、その場合も可能な限り腹腔鏡手術を行います。