消化管外科 外科系

基本概要

外来窓口 外来4F
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再診日 月-金
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診療科紹介

患者さんにやさしい医療の実践を目指して、消化管(食道から胃・小腸・大腸まで)における良性・悪性疾患の診療に取り組んでいます。そのほかの外科系診療科や、消化管内科、血液・腫瘍内科、放射線科などと連携し、手術を中心とした治療を行っています。とくに消化管がんでは先進的なロボット支援下手術をいち早く導入しています。十分な説明を行いながら、ひとりひとりに最適な医療に取り組むことをモットーとしています。

主な対象疾患とその治療

食道がん

食道がんは、発生頻度は比較的少ないものの、早期がんの段階から高率にリンパ節転移をきたし、咽頭喉頭(のど)領域の腫瘍とともに多発することがあるため、専門性の高く豊富な診療経験が必要です。
九州大学病院は日本食道学会が認定した食道外科専門医認定施設であり、年間約70例の豊富な食道癌手術経験のある施設であり、良好な治療成績を残してきました。手術は頸部、胸部、腹部の3領域におよび、体の大きな負担になります。しかし私達は1998年に食道がんに対しても胸腔鏡や腹腔鏡手術を開始し、2018年よりロボット手術も導入しており、低侵襲化を実現し、早期の退院と社会復帰を目指す患者さんの要望にこたえています。ロボット支援下食道手術もすでに100例以上施行しており、豊富な手術経験があります。また、食道外科専門医2名を中心に食道科認定医とともに高度な専門性を有した食道癌手術チームを組織しています。
九州大学消化管外科には、実際の手術ビデオで審査される「日本内視鏡外科学会技術認定」の専門資格をもった医師が10名以上在籍しており、さらに、ロボット支援下手術においても「日本内視鏡外科学会ロボット支援手術プロクター」というロボット手術指導者資格を持つ医師が4名、専門のトレーニングを受けて認定されたロボット支援下手術の術者資格を持つ医師が8名在籍しており、医療チームとして高い技術レベルの手術を提供することが可能です。
血液・腫瘍内科(がん薬物療法専門医)、放射線科(放射線治療専門医)、耳鼻咽喉科(頭頸部がん専門医)や形成外科(形成外科専門医)と連携し、診療ガイドラインを基本としつつも、各専門医による緻密な診断の下で患者さん一人ひとりに応じた治療方針を決定しており、あらゆる病態に対応が可能です。食道がんの治療は手術、内視鏡治療、放射線療法、化学療法など多岐にわたります。全国規模・世界規模の治験や臨床試験に参加して、食道がんに対する新規治療法の開発に積極的に取り組んでおり、治療困難例に対しても、未承認薬など、他施設では受けられないような先進的な治療が可能な場合があります。

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胃がん

胃がんは進行度に合わせて、内視鏡治療、手術(ロボット支援下手術、腹腔鏡手術、開腹手術)、薬物療法と適切な治療が必要です。適切な治療を行えば、根治することが多い疾患です。
私達は1991年から胃がんに対して腹腔鏡下胃切除術を行っています。現在では胃全摘や幽門側胃切除、噴門側胃切除などすべての術式で、進行がんも含むほぼすべての患者さんに腹腔鏡下手術をおこなうことができ、手術の低侵襲化(身体への負担軽減)を実現しています。また、2018年に通常の保険診療となったロボット手術は2013年から導入しており、日本内視鏡外科学会公認のロボット支援手術プロクターを中心に先進的な医療を安全で確実に行うことができます。
九州大学消化管外科には、実際の手術ビデオで審査される「日本内視鏡外科学会技術認定」の専門資格をもった医師が10名以上在籍しており、さらに、ロボット支援下手術においても「日本内視鏡外科学会ロボット支援手術プロクター」というロボット手術指導者資格を持つ医師が4名、専門のトレーニングを受けて認定されたロボット支援下手術の術者資格を持つ医師が8名在籍しており、医療チームとして高い技術レベルの手術を提供することが可能です。
進行したがんの場合は手術前、もしくは手術後に薬物療法を組み合わせて治療することが必要です。手術ができないほど進行したがんの方でも、適切に薬物療法を行うことで、通常の生活を送りながら長期に生存することが可能です。薬物療法は近年大きく進歩しており、当施設では多くの未承認薬の治験や臨床試験に参加しており、先進的治療を提供することができます。当院は全国に11施設しかないがんゲノム医療中核拠点病院であるため、2019年より保険診療で行えるようになった遺伝子パネル検査とよばれるゲノム解析を行うことで、適切な薬剤を選択することもできます。つねに患者さんやご家族と一緒に、適切な治療を考えて提供します。

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胃粘膜下腫瘍(GISTなど)

胃には「がん」とは異なり、粘膜下腫瘍と呼ばれる腫瘍が生じることがあります。その多くはGIST(ジスト、日本語では消化管間葉系腫瘍)と呼ばれる筋肉内の神経細胞を起源とする腫瘍です。このGISTのほとんどは集団検診や健康診断、その他検査で偶然発見されます。まれに大きくなってから胃からの出血や痛みで発見されることもあります。胃がんと比べると、悪性度が低いおとなしいものが大多数ですが、中には高度に転移をきたす悪性度の高いものも含まれているため、GISTと診断されると切除が推奨されます。
治療の基本は、腹腔鏡で腫瘍を「くりぬく」手術です。胃がんとは異なり、リンパ節への転移頻度が低いため、大きく胃を切除したり、リンパ節を同時に切除したりすることはなく、できるだけ正常な胃を残しながら腫瘍の部分だけを取り除きます。近年は腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除術(LECS:レックス)と呼ばれる低侵襲な手術を積極的に行っています。この手術では、手術の際に胃カメラで内科医が、腹腔鏡で外科医が互いに協力しながら、胃の内側、外側から腫瘍を確認しながら切除することで、極限まで正常な胃を残すことが可能です。
切除したあとに顕微鏡で腫瘍内の各分裂像を確認し、場合によっては再発を防ぐために数年の薬物治療が必要となることもあります。切除ができないような大きなGISTや、一度手術したあとに再発したGISTも、適切な薬物治療をすることで、長期間病気をコントロールすることが可能です。ぜひご相談ください。

大腸がん

大腸がんは、男女を合計すると、日本人で最も罹患率の高いがんです。大腸がんの発生要因として飲酒や肥満、赤肉や加工肉摂取の増加などが指摘されています。大腸がんは検診などで偶然発見されることがありますが、便秘、繰り返す下痢や肛門からの出血など、自覚症状で発見されることも少なくありません。
大腸がんは、がんが大腸にとどまっている場合は、多くの患者さんが手術を受けることで治癒します。治療法はおもに内視鏡治療、腹腔鏡手術(ロボット支援下手術)、開腹手術となります。進行度や患者さんの希望にあわせて治療法を選択します。まず、がんが大腸の粘膜内に留まる時は、手術を行うことなく内視鏡だけで切除できます。がんがそれより進行している場合は手術が必要となります。腹腔鏡手術は、複数の小さな孔を通して手術をする方法で、手術創が小さく出血量も少ない身体に優しい手術です。開腹手術と比べ入院期間も短縮できます。がんの部位によっては単孔式手術とよばれる1つの切開巣だけから手術をする方法も選択することができます。手術支援ロボット「ダビンチ」を使った直腸がんの手術も2018年より積極的に行っています。直腸がんは大腸の他の部位に比べると手術が難しい領域ですが、手術支援ロボットを使って安全、精密に手術を行うことができます。この手術支援ロボットを使った肛門温存手術にも積極的に取り組んでいます。
九州大学消化管外科には、実際の手術ビデオで審査される「日本内視鏡外科学会技術認定」の専門資格をもった医師が10名以上在籍しており、さらに、ロボット支援下手術においても「日本内視鏡外科学会ロボット支援手術プロクター」というロボット手術指導者資格を持つ医師が4名、専門のトレーニングを受けて認定されたロボット支援下手術の術者資格を持つ医師が8名在籍しており、医療チームとして高い技術レベルの手術を提供することが可能です。
また大腸がんは、たとえ肝臓や肺などにがんが「転移」している進行がんでも、薬物療法でがんを小さくして手術を行うことでがんを根治できることがあります。当院は多くの未承認の薬剤の臨床試験にも参加しています。是非一度ご相談ください。また当院は全国に11施設しかないがんゲノム医療中核拠点病院であるため、2019年より保険診療で行えるようになった遺伝子パネル検査とよばれるゲノム解析も行うことができます。ぜひご相談ください。つねに患者さん、ご家族と一緒に適切な治療について考えて治療します。

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  九州大学病院がんセンター 大腸がん
 

炎症性腸疾患
クローン病

クローン病は若年者を中心に大腸や小腸に慢性的に炎症をおこす疾患です。消化管のどの部位にも炎症や潰瘍が起こりえます。なかでも小腸と大腸が多く、とくに小腸末端部が好発部位です。症状としては腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。クローン病の治療は、内科治療が主体となります。ただし狭窄や腸閉塞、穿孔、瘻(ろう)孔などの合併症を生じた場合には、外科治療が必要となります。
若年者が多く、再手術のリスクの高いクローン病の外科治療では、侵襲の少ない腹腔鏡手術を第一選択としています。手術中に内視鏡検査を行い病気の範囲や程度を確認することで、開腹手術と同等の手術成績となっています。大腸病変や瘻孔・膿瘍形成のある場合には腸管切除が必要となります。しかし、小腸の狭窄病変に対しては、可能な限り腸管切除を避けて狭窄形成術を行い、将来腸が短くなって吸収障害を残す短腸症候群をきたさないよう努力しています。消化管内科との緊密な連携と協議による手術適応と手術術式の決定を行っています。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、大腸粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性腸疾患です。下痢・腹痛が症状で、病変は直腸から連続的に広がる性質があり、結腸全体に拡がることもあります。主な治療は薬による内科的治療ですが、薬の効果が乏しい重症の場合、腸閉塞・穿孔・大量の出血・大腸がんの発生などの合併症が起きた場合、副作用などで薬による治療を続けられなくなった場合には、手術による治療が行われます。
潰瘍性大腸炎に対する手術では、原則的に大腸をすべて取り除きます。手術の基本は、大腸をすべて切除後に肛門を温存するため回腸嚢(のう)を作り、肛門とつなげる手術です。待機的な手術では一時的な人工肛門を作る2期手術を行い、術後数か月で人工肛門を閉鎖しています。全身状態の悪い緊急例やステロイド大量投与中の方などでは、手術の安全を確保するために切除、再建、人工肛門閉鎖を開腹による3分割に分けて行っています。高齢の方など残存した肛門機能の悪い方では小腸で人工肛門を作る手術になることもあります。2002年からは腹腔鏡手術を導入し、原則として腹腔鏡による大腸全摘術を行っています。

その他

上部消化管領域では、通常の食道癌、胃癌に加え、食道裂孔ヘルニアに対する手術も多く行っています。下部消化管領域では小腸腫瘍や痔瘻、直腸脱に対する手術なども行っています