眼科 外科系

基本概要

外来窓口 外来2F
初診日 月・水・金
再診日 月-金
ご連絡先 092-642-5660
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診療科紹介

眼科は、九州地方のみならず全国各地から患者さんの紹介を受け、難治性の疾患や希少な疾患にも対応できるよう、専門性が高く経験豊富なスタッフが診療にあたっています。患者さんが安心して良質かつ高度な医療を受けられるよう、各専門領域の医師が密に連携を取りながら診療を行っています。

主な対象疾患とその治療

眼科では、ぶどう膜炎、網膜硝子体疾患(糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、網膜剥離など)、緑内障、網膜色素変性、眼部腫瘍・涙道疾患など、眼疾患全般の診療を行っています。

ぶどう膜炎

「ぶどう膜」とは、いわゆる茶目の部分から眼球の奥に広がる虹彩・毛様体・脈絡膜の3つをまとめて呼ぶ総称です。ぶどう膜は血管やメラニン色素に富んだ組織で、何らかの原因でこの組織に炎症が起こることを「ぶどう膜炎」と呼びます。ぶどう膜に炎症が強く起こると、眼の中が濁ってしまったり、ぶどう膜の内側にある網膜に炎症が波及し、視力が低下してしまいます。眼球のみならず、皮膚・神経・肺・心臓・関節など他の臓器にも炎症を伴うことが多くあります。

感染症でなければ、免疫の働きを抑えて炎症を軽減させることが治療の中心です。ステロイド薬が用いられることが多く、病状に応じて投与法(点眼・内服・点滴)を選択します。免疫抑制剤を使用することもあります。また新しい治療法として炎症性サイトカイン(炎症を起こすタンパク質)を標的とした生物学的製剤(抗TNF-α薬)も使用できるようになり、治療予後が改善しています。ただし、いずれの治療を行う場合にも免疫力が低下するため、感染などの副作用に注意することが重要です。

ぶどう膜炎の合併症として、白内障、緑内障、網膜剥離、硝子体混濁などがあります。内科的治療で効果がない場合には、外科的手術を行うことがあります。

全身症状に関しては、免疫膠原病内科、呼吸器内科、神経内科、循環器内科など他の診療科と連携をとり、診療にあたっています。

網膜硝子体疾患

加齢や糖尿病による負荷が網膜に蓄積すると、異常血管(新生血管)を生じることがあり、それぞれ「加齢黄斑変性」や「糖尿病網膜症」と呼ばれます。本来透明な組織の網膜や硝子体に出血があると、光の到達を邪魔してしまうため、視力が低下します。また視力に最も重要な黄斑(網膜の中心部)に水が溜まることもあり、歪みや視力低下の原因となります。

これらの血管新生や浮腫を増悪させる因子として、VEGFというタンパク質が重要であることが分かっています。VEGFを阻害する薬剤を眼内に投与する治療法が開発され、わが国でも加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、近視性脈絡膜血管新生などに認可されています。本治療によって視力の向上や病気の進行の遅延が可能となりましたが、一方で定期的に注射を継続する必要があったり、病気を根本的に解決することは難しいという側面もあります。その他にもレーザー治療やステロイド投与、硝子体手術などを行うこともあり、それぞれの患者さんと相談しながら治療を進めています。

硝子体は眼球の中を満たしている透明のゼリー状の組織で、年齢とともに性状が変化します。硝子体に引っ張られて網膜に裂け目できると、網膜の裏側に水が入り込んで網膜が剥がれてしまうことがあり、これを「裂孔原性網膜剥離」と言います。初期には飛蚊症や視野欠損を自覚することがありますが、網膜剥離が黄斑に及ぶと歪視や視力低下が起こります。

網膜剥離の治療には大きく「強膜内陥術」と「硝子体手術」がありますが、どちらも網膜の穴を塞いで網膜を元の場所に戻す(復位させる)ことが目的です。若い方の網膜剥離では前者を、年配の方の網膜剥離では後者を行うことが多いですが、個人個人の病状に合わせて、最適な治療法を選択できるよう努めています。網膜剥離を治療しないでおくと、網膜が光を感じられなくなってしまったり、増殖硝子体網膜症という一層治療が難しい病気になってしまいます。当科では、緊急手術を含めて迅速に治療ができる環境を整えています。

緑内障

「緑内障」は眼と脳を繋ぐ視神経の数が減少し、徐々に視野が欠けていく病気です。視神経は一度失われてしまうと回復は難しく、早期発見・早期治療が重要です。しかし初期の段階では自覚症状に乏しく、また日本人では眼圧が高くない「正常眼圧緑内障」の割合が多いため、視力・眼圧検査だけでは発見が難しい場合が多く、ドックや眼科受診での精密検査(眼底検査、OCT、視野検査など)が早期発見に重要です。

緑内障の進行には眼圧が関係し、点眼薬、レーザー治療または手術で眼圧を低下させることが主な治療法です。大部分の緑内障の患者さんでは点眼薬による治療が中心となりますが、点眼治療のみでは眼圧が十分に下げられない、あるいは視野狭窄の進行を抑えられない患者さんに対しては、外科的治療が必要となります。当院では線維柱帯切開術、線維柱帯切除術、緑内障治療用インプラント挿入術、毛様体光凝固術などさまざまな手術加療を行なっています。また近隣の眼科とも連携して、眼圧や視野の変化を密に観察しながら、最適な治療ができるように努めています。

一般的に緑内障はゆっくりと進行する病気ですが、眼の中の水の排出口(隅角)が狭い方では眼圧が急激に上昇して緑内障発作を起こすことがあります。緑内障発作では、充血・眼の痛み・かすみ・頭痛や吐き気などの症状を伴い、発作の状態が続くと急速に視野障害が進行する場合がありますので、早期に治療を受ける必要があります。緑内障発作に対する治療は、点滴による眼圧下降、レーザー虹彩切開術や水晶体切除術などを行います。

網膜色素変性

網膜色素変性は、遺伝子のキズによって網膜が少しずつ傷んでいく病気です。暗いところで見えにくいという症状で始まり、病気が進行するとともに見える範囲が狭くなって、人や物にぶつかりやすい、つまずきやすい、などの症状が出てきます。現時点では、有効な治療法がない疾患ですが、世界的に研究が精力的に行われ、再生医療や遺伝子治療、人工網膜など新しい治療の開発が進んでいます。

当科では年間600名を超える患者さんをフォローし、眼の検査を行うことはもちろんですが、患者さんやご家族の話をしっかり聞いて、網膜色素変性という病気を正しく理解してもらい、上手に付き合っていくための情報提供・サポートに力を入れています。

網膜色素変性自体にはまだ治療法がありませんが、しばしば合併することのある白内障や黄斑浮腫などに対しては、点眼薬や手術などの治療ができる場合があります。また九州大学病院において、病気の進行を遅らせる遺伝子治療の開発にも取り組んでいます。

眼腫瘍

眼腫瘍とは、眼窩、涙腺、眼瞼、結膜、眼内などに発生する腫瘍のことです。当科では40年以上、眼腫瘍を専門的に診療し、多くの患者さんの長期経過をみていることに特徴があります。

当院は、眼腫瘍専門診療を標榜する全国でも数少ない施設の一つでもあります。眼部は整容的にも機能的にも大切な部位で、腫瘍の根治と同時に機能温存を考えていかなければなりません。手術や放射線・化学療法、そして、レーザー治療、またそれらを組み合わせるなど、他科と連携しながら患者さん一人一人に対して、最適な治療方法を考えていきます。

眼形成疾患

眼形成疾患とは、眼瞼下垂、眼瞼内反症などの頻度の高い疾患から顔面神経麻痺後の外反症、甲状腺眼症、外傷後の変形、眼球摘出後の義眼床形成など眼部の形態異常によって機能障害がでている状態をさします。それらに対する眼形成手術にも対応しています。

涙道疾患

涙は涙腺から分泌され、眼表面を流れ、涙道(涙点から涙小管、涙嚢(のう)、鼻涙管)を経て排出されます。涙の排水経路である鼻涙管が閉塞すると、流涙症を生じ、涙嚢炎を生じると眼脂、排膿(うみがでる)、涙嚢部皮膚発赤などの症状が起こります。程度によって、涙管チューブ挿入術や、涙小管再建術、涙嚢鼻腔吻合術を行っています。

その他

ぶどう膜炎、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性等の網膜硝子体疾患、緑内障、眼部腫瘍、網膜色素変性等の遺伝性眼疾患、眼瞼・涙道疾患、未熟児網膜症の診療に力を入れています。最先端の器械、技術を用いて、精度の高い診断と安全性の高い治療(手術)を心がけています。急患に常時対応可能な体制で診療を行っています。