心臓血管外科 外科系
外来窓口 | 外来3F |
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初診日 | 月-金 |
再診日 | 火・水・金 |
ご連絡先 | 092-642-5565 |
診療紹介
九州大学病院心臓血管外科ではPatients first(患者さま第一)、For the patients (患者さまのために)をモットーに、患者さまにとって何が最良かを考え、心臓外科の対象となるあらゆる疾患の手術を行っています。2000年から2021年までの間におよそ7500例の心臓手術を行っています。
1.弁膜症手術
人工心肺を用いて、おもに人工弁置換術(図3)を行いますが、可能な限り自己組織を温存する弁形成術(図4)を行っています。また手術の低侵襲化を目指し、安全を担保した上で小開胸手術 (MICS)(図5)やロボット手術も積極的に取り組んでいます。特に、大動脈弁狭窄症の患者さんは高齢化に伴い増加傾向です。また、高齢や併存症により手術ができなかった患者さんに対しては、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)(図6)を行い良好な成績を得ています。
2.大動脈手術
手術法には人工血管置換(図9)とステントグラフト手術(図10)があります。人工血管置換は、体への負担が大きいものの治療効果は確実で、ステントグラフトは、負担が少ないものの長期の治療成績に不安が残るといった特徴があります。患者さん毎に、動脈瘤の形や場所、全身の状態を考慮し、最適な方法を選択することによって、かつては治療できなかったような高齢患者さんにも手術が受けられる機会が広がっています。
3.冠動脈バイパス術
一般的には薬物治療(ニトロの舌下)やカテーテルでのステント治療が行われますが、重症だったり、カテーテル治療に不向きだったりする場合は、心臓外科手術(冠動脈バイパス術:図11)が勧められます。具体的には、体内のいくつかの血管(内胸動脈や大伏在静脈など)を採取して狭窄部の先に吻合して心臓の血流を増やします。人工心肺を使用して心臓を止めて行う方法の他に、動かしたままで血管吻合を行う方法(OPCAB)がありますので、患者さん毎に最適な方法を選択しています。
4.先天性心臓病手術
当科では、先天性心疾患手術を年間150例前後行い、60-70%は1歳未満の新生児、乳児期手術です。当科の特徴として1)新生児期からの積極的な手術介入、2)美容を考慮したアプローチ(正中小切開、右後側方切開、腋窩切開などによる心臓手術:図12)、3)近年増加している成人先天性心疾患手術では手術数、成績で日本トップレベルの実績があります。4)劇症型心筋炎などの急性重症心不全に対する小児ECMO治療(機械的補助循環)では、患児が他県からも緊急搬送されています。5)九州で唯一の小児体外人工心臓実施施設(Berlin heart Excor pediatric)などがあげられます。
5.心不全外科
九州大学病院は、九州で最初の植込型補助人工心臓(図13)の実施施設で、九州唯一の心臓移植認定施設です。これまでに、150人以上の補助人工心臓治療や、49人の心臓移植を行ってきました(2022年4月現在)。2017年より小児用補助人工心臓の実施施設として、子供たちも補助人工心臓治療を受けることができるようになりました。さらに、2020年には小児心臓移植が当院で可能となりました。また、心疾患が原因でショック状態となった患者さんには、重症度に応じて経皮的心肺補助装置(ECMO)や経皮的補助循環用ポンプカテーテル(IMPELLA)といった、循環補助装置を使用して治療にあたっています。心臓血管外科では、さまざまな疾患のあらゆる重症度の患者さんに対して、適切な治療を提供することのできる体制を整えています。
主な疾患は心臓外科の主要な分野である、先天性心疾患、僧帽弁、大動脈弁、三尖弁などの弁膜症に対する弁形成や弁置換術、大血管・大動脈に対する外科治療、虚血性心臓病に対する冠動脈バイパス、さらに重症心不全に対する左心補助装置植え込みおよび心臓移植などほとんどすべての心臓手術を網羅しています。