研究と教育 胆道・膵臓・膵臓移植・腎臓移植外科

基本概要

外来窓口 外来4F
初診日 火・木・金
再診日 火・木
ご連絡先 092-642-5453
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研究

当科では、臨床研究を実施しています。
臨床研究とは、病気の原因や病態の解明を目的としたものから、新たな治療方法や治療薬、また医療機器の介入などによって期待される改善効果に至るまで、患者さんにとって有益な治療を明らかにするために幅広く行われる医学研究です。事前に研究目的や研究内容を、科学的や倫理的に厳密に検討して、臨床試験倫理審査委員会で承認された後に研究を実施しています。

主として胃がん、大腸がん、および膵臓がんの治療に関わるものを行い、より根拠の確かな結果を求め、「胃癌に対するda Vinci S Surgical Systemによるロボット支援手術の安全性・有効性の検討」、「肛門近傍の下部直腸癌に対する腹腔鏡下手術の前向き第Ⅱ相試験」、「膵がん切除患者を対象としたゲムシタビンとS-1の併用療法(GS療法)をゲムシタビン単独療法と比較する術後補助化学療法のランダム化第Ⅲ相試験」など、手術に関するものや抗がん剤治療に関するものを中心に21個に及ぶ臨床研究が現在進行中です。

多施設共同研究においても、「局所進行下部直腸癌に対する術前XELOX療法の安全性・有効性に関する多施設共同研究:第二相試験」、「根治切除(RO)不能局所進行膵癌に対するGemcitabine+nab-Paclitaxel療法の有用性に関する前向き多施設共同研究」、「膵体尾部切除での膵実質切除における脾静脈剥離・個別処理と脾静脈同時切除の多施設共同無作為化比較第Ⅲ相試験」などが行われています。

とくに、予後が非常に悪い膵臓がんに関しては、膵臓がん根治切除率と予後の飛躍的向上を目指し、「十二指腸液研究 十二指腸液中タンパク質濃度測定による膵癌早期発見法の開発」、「膵液細胞診診断精度の向上を目指したセクレチン製剤投与の検討」といった、早期診断法に関する臨床研究も行っています。

近年では、医学界でトレンドとなっているERAS(Enhansed Recovery After Surgery)という手術後の回復力強化プログラムや、胃がんと大腸がんに対するロボット支援下内視鏡手術に関する研究も行い、今後も患者さんの治療に関して有効と考えられる治療法を取り入れ、積み重ねたエビデンスを世界に発信することを目標に、臨床研究を行っていきます。

教育

外科医は減少している!

小児科や産婦人科以上に、外科医は減少し続けています。きつい、自由な時間がない、勤務時間が長い、仕事の割に給与が低い、などが敬遠される理由です。しかしながら、目の前の患者さんを自らの手で治療し、救うことができる「手術」は、他の治療では置き換えることが出来ません。『がん患者さんの病巣を完全切除し、がんの「根治」を達成する』、『穿孔性腹膜炎の患者さんを緊急手術により救命する』、このように自らの手で患者さんの命を救うことができる治療は外科治療ならではで、それを成し遂げられる外科医は医師の中でも非常にやりがいのある職業です。日本中に外科医を必要とする患者さんが、今現在もたくさんいるのです。

外科医になるためにはどうしたら良いか?

これまでは右図のように、各学会が認定した施設での経験症例、経験年数があれば個人で申請を行い、各学会が認定する専門医を取得することができました。しかしながら、平成30年4月1日から新専門医制度が導入され、外科専門研修スケジュールが変更されています。外科専門医を取得するには、初期研修終了後に日本専門医機構が認定した外科専門医研修プログラムの下で、最低3年間の研修を行い、必要な執刀数や症例数を経験しなくてはなりません。九州大学病院の外科専門研修プログラムでは一般外科・心臓血管外科・小児外科の連携の下、幅広く数多くの外科症例を経験することができます。当科においては、関連研修施設と連携し、後期研修医がスムーズに外科専門医を取得できるようなローテーションプログラムを企画・構築しています。どの関連研修施設においても研修医指導のエキスパートが熱く、優しく、ときに厳しく、徹底した指導・教育をしています。

一人前の外科医として手術ができるようになるか?

『手先が器用でなくても外科が好き』、『患者さんが退院されるときの「ありがとう」の言葉が好き』、『医師として誇りを持ってどこでも外科医であると言いたい』、そんな気持ち・やる気を持って努力を惜しまない外科医なら、必ず手術ができるようになります。外科医は患者さんの体にメスを入れることが許される代わりに、患者さんの命に全責任を負うことになります。外科医の熱意、知識、努力が直接患者さんの心と体を救うこともあります。時には厳しい現実を目の当たりにすることもあります。しかし大変な手術を乗り越え、日一日と回復し、元気に退院する患者さんを目の当たりにすると、何にも代えがたい充実感を覚えることも確かです。
我々と苦楽を共にし、研修に励みましょう。一緒に手術ができる日を楽しみにしています。
  • 九州大学病院外科専門医研修プログラム
  • 当科関連研修施設