研究と教育 乳腺外科

基本概要

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研究

近年、乳がんの治療法は大きく変遷してきました。これも乳がんの生物学的特性に対する考え方の変化や理解の深まりによるところが大きいとされています。病気のことをよりよく理解することが、よりよい治療法につながることはいうまでもありません。 乳腺外科では、従来、臨床へのフィードバックを目的に、乳がんの予後が悪くなる原因、DNA修復異常、薬物療法の耐性に関わる因子、がんの転移はなぜ起こるのか、などを中心に研究を進めてきました。
現在、乳がんのさらなる治療成績向上のために研究を進めています。
1.化学療法、ホルモン療法の感受性を決定する因子の探索、それに基づいた奏効度(薬の効果)と生活の質(QOL)の高い薬物療法の確立
2.トリプルネガティブ乳癌等に対する新たな治療標的の探索(分子標的治療の開発)
3.遺伝子発現のエピジュネティックな変化を応用した乳癌の薬物治療感受性の修飾
4.乳癌と腫瘍免疫
5.腫瘍免疫機構解析によるトリプルネガティブ乳癌の予後および治療効果予測方法の確立 腫瘍浸潤リンパ球の分子生物学的機能を明らかにし、新たな免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1/PD-L1抗体の治療効果予測方法を確立することを目標としています。
6.乳癌におけるcell free DNAコピー数異常の解析 予後不良とされるLuminal B 乳癌患者の末梢血、組織(手術時摘出標本、再発組織)を用いて、cell free DNAのコピー数変化(cfDNA CNV)と乳がん組織DNAのコピー数の比較検討をしています。cfDNA CNVが病状を反映し、治療効果のバイオマーカーとなり得るか評価することを目的としています。
7.乳癌ゲノム医療 がんゲノム拠点病院として、乳癌部門のTranslational researchを担当します。
8.再発乳がんレジストリ構築 再発乳がんの治療歴、予後のレジストリ構築を目指します。
9.フィリピン・聖マリア病院との人材交流 フィリピン・聖マリア病院との人材交流を通して、臨床研究を行います。その他、サブテーマとして「トリプルネガティブ乳癌・若年乳癌の家族歴とBRCAness解析」「Dose-dense AC療法に対する持続型G-CSF製剤を用いた支持療法」「Cell free DNAによるHER2-type予測」「HER2コンパニオン診断の精度管理」「トリプルネガティブ乳癌におけるmicrosatellite instabilityの解析」「再発乳癌患者のリンパ管侵襲と予後予測の解析」などの研究を行っています。研究成果を実臨床に役立て、世界に発信していきたいと考えています。 

教育

人格を磨き、社会に貢献できる外科医の育成に取り組んでいます。各疾患グループとも専門医による充実した指導体制を整えています。九州はもちろん、全国に及ぶ関連施設において、出身大学、男女の別なく若手外科医の手術手技研鑽、専門医取得を全力で指導しています。外科専門医はもちろん、サブスペシャリティ専門医、高度技能医、内視鏡外科技術認定医などの取得が可能です。
また、若いうちから「疾病・病態の分子機序解明」に主眼を置いた研究に取り組むことにより、各疾患に対する深い洞察力を磨き、自らの研究を世界へ発信し、世界で活躍できる人材の育成を目指しています。ほぼすべての医局員が医学博士号を取得し、さらに研究や臨床のために、欧米または、国内一流施設へ留学することを推奨し、つねに海外へ多数の留学者を派遣しています。これらの取り組みが、多くの大学教授、日本および世界をリードする一流の指導者の輩出へと結実しています。

1)ベッドサイド学生への教育

医学部5年生を対象に、手術、病棟管理、外来での実習を担当します。また乳腺領域の講義を行っています。
 

2)クリニカルクラークシップ学生への教育

医学部6年生を対象に、クリニカルクラークシップを受け入れています。外科領域における縫合や結紮などの基本手技を学んでもらっています。
 

3)研修医への教育

初期研修医のローテーターは、乳腺外科手術の基本手技・周術期管理・薬物療法について学んでいます。
 

4)看護師・看護学生への教育

病棟・外来看護師を対象に、乳腺領域の基本知識、周術期・薬物療法管理の講義を行っています。看護学部大学院生の外来実習の受け入れを行っています。