研究と教育 脳神経外科

基本概要

外来窓口 外来2F
初診日 月・水・金
再診日 月・水・金
ご連絡先 092-642-5533
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研究

九州大学脳神経外科は、臨床現場で得た疑問を解決すべく、さまざまな技術を駆使しながら精力的に研究に取り組んでいます。学内外の臨床、基礎研究室と交流し、多施設共同研究や「橋渡し研究」に取り組んでいます。さらにビッグデータ解析を駆使し、革新的な医療技術の開発にも取り組んでいます。
 

脳血管障害

脳梗塞の原因となる内頚動脈狭窄や、くも膜下出血の原因となる動脈瘤の形成メカニズムの解明に取り組んでいます。先端医工学科の協力のもとで、脳梗塞治療のためのNano particleを用いたDrug Delivery Systemの開発、ハイパースペクトルカメラによる非侵襲的な術中画像診断支援システムの開発を行っています。もやもや病専門外来を開設し、わが国の一大拠点として豊富な経験に基づいた治療を行っています。DPC・電子レセプト情報を用いた日本全国の脳卒中疫学調査を行い、救急医療の適確化や医療体制の整備に関する研究を行っています。
 

脳腫瘍

臨床では高難易度の脳腫瘍に対するMultimodality術中支援システムの構築、覚醒下手術による機能温存を重視した最大限の脳腫瘍摘出術を目指しています。神経膠腫に対しては、遺伝子変異の所見に応じて適切な治療を選択するために、先進医療による遺伝子解析を導入しています。さらに患者さんの協力のもとで得られた腫瘍由来細胞を用いて、腫瘍の悪性化のメカニズムを探索しています。小児がん拠点病院として、小児科との連携による綿密な治療計画のもと、高悪性度の小児脳腫瘍に対しても積極的な集学的治療を行っています。間脳下垂体部腫瘍に対しては、耳鼻科や内分泌内科との連携のもと、患者さんの生活の質(QOL)を重視した、低侵襲内視鏡手術法の研究開発や独自の包括的診療システムの確立に取り組んでいます。
 

神経生理・医工学

難治性てんかんに対する外科手術症例を対象に、高周波律動(High Frequency Oscillation)解析を用いた焦点検索や、頭蓋内外同時記録を用いたてんかん発作起始域の正確な判定方法の研究、皮質・皮質間誘発電位(Cortico-Cortical Evoked Potentials)を用いた脳機能ネットワークの検索を行っています。臨床データを基にさまざまな手法を駆使して脳機能の更なる究明に取り組んでいます。また、九州大学工学部との共同研究で、近赤外線分光法や筋電図を用いたリハビリテーション支援ツールSMOVEの開発を行っています。
 

小児脳神経外科

福岡市立こども病院と連携し、二分脊椎(脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫)症例の病理学的検討を綿密に行い、病態、発生メカニズムに関する研究を行っています。

教育

脳神経外科とは、脳や脊髄をはじめとする中枢神経系に生じる疾患(脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷、脊椎・脊髄疾患、中枢神経奇形、機能的脳神経外科疾患など)を対象とし、手術を中心としながらも、脳卒中やてんかんなどの非手術的治療まで対象とする専門的で高度な医療を実践する診療科です。九州大学脳神経外科は、病に苦しむ患者さんに寄り添い、治療に最善を尽くす脳神経外科医を育成します。さらに、治療難易度の高い病変に対しては、豊富な手術経験と最新の手術支援技術や臨床神経科学に基づいた治療を行っています。豊富な関連病院のネットワークを通して、専攻医はもとより、生涯教育の観点から、これらの知識や技術の継承を目指した教育研修システムを構築しています。また、年に1回、医学部生や研修医を対象としたハンズオンセミナーを開催し、実際に顕微鏡手術や血管内治療を体験してもらうことで、脳神経外科学分野の魅力を伝えています。

当教室ではアカデミック・サージャンの育成を大きな目標の一つとして掲げています。多忙な臨床現場においても、さまざまなカンファレンスを定期的に行い、リサーチ・マインドの醸成と臨床力の強化を目指しています。また、基礎研究者を中心とする学内外の研究者を招聘してセミナーを開催し、教室のアカデミックな活動レベルを高めています。教室内の研究施設では脳腫瘍、脳血管障害、神経生理、医工学を柱とし、大学院生を中心に質の高い研究を続けています。実際の臨床から生まれる多くの問題点や疑問点を解明し、将来の臨床応用を見据えて、当教室の充実した研究環境のみならず、学内外の基礎、臨床教室との連携体制も構築しています。未だ解明が進んでいない非常に奥が深い臨床脳科学領域で、九州大学から世界へと新しい情報を発信すべく、日々研究にいそしんでいます。