ECMOセンター 病院部門紹介

ECMO(エクモ)とはExtraCorporeal Membrane Oxygenationの略で、心臓機能と肺機能を代替する体外循環装置です。ECMOセンターでは、ECMO治療に特化した内科系・外科系スタッフを集約的に配置し、医療の質の向上のみならず、ハード・ソフト両面にわたる医療資源の効率的運用を目的として、2017年6月に開設されました。

[得意分野]
成人・小児を問わず、重症循環不全・重症呼吸不全を対象とし、疾患に応じて、心臓と肺の両方を補助することができるV-A ECMO、肺の補助のみを行うV-V ECMOを使用しています。診療科の垣根を越えて、さまざまな疾患に対応しています。
■成人ECMO治療
  成人ECMOの適応疾患は多岐にわたり、重症循環不全(急性心筋梗塞、劇症型心筋炎、心臓手術術後など)、
  重症呼吸不全(肺炎、 ARDS)、さまざまな手術での術中補助などでECMOを使用しています。成人ECMO症
  例は年間30-40例と年々増加傾向にあります。
■小児ECMO治療
  体格や年齢(月齢)を問わず、心臓手術術後、先天性横隔膜ヘルニア、劇症型心筋炎、重症呼吸不全(新生児
  遷延性肺高血圧)などでECMOを使用しています。小児ECMO症例数は年々増加し、年間の症例数は10例前後
  です。小児ECMO治療を集学的に行える施設は、九州では本院以外になく、佐賀県、熊本県など他県からも患
  者さんを受け入れています。
■より高度な機械的循環補助・呼吸補助
   ECMO治療は、末梢ECMO(大腿部や頸部から)を行うことが一般的ですが、循環・呼吸の状態や他臓器(肝
   臓、腎臓)の状態により必要に応じてセントラルECMO(開胸下)へ移行することで、より高い救命率を得て
   います。また、近年は補助循環用ポンプカテーテル(インペラ)を組み合わせることで、より効果的な治療を
   行うことができるようになりました。ECMO治療は、通常1-2週間での回復・ECMO離脱を目標にしています
   が、本院は九州で唯一の心臓移植認定施設であるため、回復が困難な心不全の患者さんに対しては、体外式ま
   たは植込型の補助人工心臓を用いて心臓移植を目指す長期管理へ移行することも可能です。

[診療体制]
ECMOセンターのメンバーは、心臓血管外科、循環器内科、小児科、小児外科などの専門診療科医師と集中治療部医師に加え、ICU・CCU看護師、臨床工学技士、薬剤師などのメディカルプロフェッショナルスタッフによって構成されています。ECMO治療は、循環・呼吸に対する集中治療を必要とするため、ICU・CCUで実施しています。ECMOセンターの開設により、より迅速な診断と治療開始をシームレスに提供できるようになりました。ECMO治療を行っている患者さんに対しては、ECMOセンタースタッフが日夜担当科医師などと治療方針を話し合いながら、適切な治療を提供しています。

[診療方針]
患者さんの視点に立つことを一番に考え、本人とご家族に、最善の医療を提供することを目指しています。重症循環不全・呼吸不全に対するECMO治療を実践し、九州での拠点病院としての役割を果たすべく、日々診療を行っています。