円滑な周術期の治療・管理を目的として、全身麻酔で手術を受ける患者さんや化学療法、放射線治療を受ける患者さんに対し、治療開始前から専門的な口腔ケアを行い、口腔内の細菌や疾患が原因となる合併症を予防します。
[得意分野]
医科の手術や治療の前後に口腔診査を行い、口腔からの細菌感染の予防や口腔機能の管理、さらには治療の妨げになるような口腔疾患の治療を行います。また、疾患のためブラッシングやうがいをすることが難しい患者さんの口腔ケアサポートも行います。
1) 口腔内感染源の除去:専門スタッフ(歯科医師および歯科衛生士)による徹底的な歯垢・歯石除去、口腔粘 膜の清掃、ブラッシング・保湿・うがい指導など
2) 薬の副作用などによる口腔粘膜炎の治療・ケア
3) 動揺歯の固定:全身麻酔のチューブ挿入時などに起こる歯の脱落を予防
4) 一般歯科治療、口腔外科治療
[診療方針]
周術期とは、入院・手術・回復からなる治療前後を含めた一連の期間を意味します。この期間に口腔内が不潔だと、術後の肺炎や創部感染など多くの合併症が起こります。また、心臓血管外科手術時や造血幹細胞移植においては、歯周病や進行したう蝕は重篤な感染症のリスクになります。周術期口腔ケアセンターでは、このような合併症の予防を目的として、医科各科や周術期支援センターと連携して、手術、化学療法や放射線治療、移植や心臓外科手術などの患者さんに対して外来・入院期間に感染源除去を目的とした口腔ケアや歯科治療を、高齢者歯科・全身管理歯科、口腔総合診療科を中心に歯科部門の全科が行います。退院後はかかりつけ歯科医、あるいはかかりつけ歯科医がない場合は地域の歯科医院や病院を紹介し、連携を取ります。
[対象疾患]
歯周病、う蝕、放射線・化学療法による口腔粘膜障害、口腔乾燥、義歯および冠の不適合など口腔内の疾患、摂食・嚥下障害、口腔衛生状態が不良で誤嚥性肺炎のリスクが高い患者
[主な検査]
■口腔衛生状態診査:衛生状態を診査し、口腔清掃指導を行います。
■ X線検査:歯の状態を調べ、医科治療を円滑に行えるようにします。
■歯周組織検査:歯の動揺、歯周ポケットの深さを診査します。
■細菌検査:口腔内細菌を検査して、早期対応を可能にします。
■義歯の診査:義歯の状態を評価し、必要な場合は修理などを行います。
■ 口腔機能検査:咀しゃく機能、咬合力、唾液量、舌や口唇の運動機能、嚥下機能などの評価を行います。
[主な治療法]
■口腔内衛生指導(ブラッシング、粘膜の清掃、うがい、保湿)
■歯周基本治療(歯石除去)
■歯科治療(う蝕治療や抜歯などによる感染源の除去)
■動揺歯の固定・保護(マウスプロテクタの製作)
■口腔ケア(歯、舌、粘膜)と口腔リハビリテーション
■退院後支援(地域の歯科医院や病院を紹介します)
[学会施設認定]
日本口腔ケア学会